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画家として生きるには?失敗から学んだ成功のヒント | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年11月21日
  • 読了時間: 7分

更新日:2月16日

 こんにちは。1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。私はもともと美術大学を出たわけでもなく、独学と試行錯誤を繰り返しながら画家としての道を切り開いてきました。そんな私も、ここに至るまでに数えきれないほどの失敗を経験しています。しかし、その失敗を振り返ってみると、自分の活動や作品に深みを与える重要な学びを得るチャンスでもありました。この記事では、「画家として生きる」ために必要なポイントを、私自身が失敗から学んだ成功のヒントとしてお伝えしたいと思います。


  1. 画家を志したきっかけ


 私が画家として歩み始めたのは、30代半ばを迎えた頃でした。学生時代は美術部に所属していたものの、美術系の大学には進学せず、社会に出て普通の仕事をしていました。ただ、心のどこかで「いつかは絵を描いて生きてみたい」という思いがくすぶっていたんです。そんなある日、地元の小さなアートイベントで偶然出会った作品が決定打となりました。「こんなにも心を揺さぶる絵を、自分も描けたらどんなに素晴らしいだろう」と強く感じ、そこから本格的に筆を握り始めたのです。


 最初は技術も知識も足りず、ただがむしゃらに描くだけでした。それでも「描くことが好き」というシンプルな理由が私を支え、多少の苦労や遠回りも乗り越えられたのだと思います。どんな職業にも共通しますが、最初の「なぜやりたいのか」という想いが明確であればあるほど、その後に来る困難に立ち向かう強さを与えてくれます。


  1. 失敗と向き合う心構え


 画家になりたいと思っても、すぐに評価されるわけではありません。私も、最初は個展を開いてもほとんど作品が売れず、目に見える成果がゼロに等しい時期が長く続きました。しかし、その「売れない」「注目されない」という失敗を、ただ落ち込むだけで終わらせるのはもったいないと感じたんです。


 そこで意識したのは、「何がどうダメだったのか」を客観的に分析することでした。作品の価格設定が妥当か、テーマや作風がイベントの趣旨に合っているか、展示の見せ方に問題はないか……こうした要素を一つずつ見直していくと、少しずつ具体的な改善点が見えてきます。失敗と向き合う怖さを乗り越えて分析し、得られた学びを次のチャレンジに活かす――その繰り返しが、私の作品と活動をじわじわと前進させました。


  1. 周囲の評価に振り回されない


 絵を描く以上、「たくさんの人に見てもらいたい」「評価されたい」という気持ちは自然に芽生えます。ただ、周囲の声を必要以上に気にしてしまうと、本来の自分が描きたかったものがブレてしまうことがあるんです。特に最初の頃は、「どうすれば売れるのか」と考えすぎて、自分の軸を見失いかけたことがありました。


 そのときに思い出したのは、最初に絵を描き始めた頃の気持ちです。「こういう世界を表現したい」「この色や形に魅力を感じる」という純粋な想い。売り上げや有名になることだけを目的に絵を描くと、不思議なくらい筆が進まなくなるものです。もちろん画家として生計を立てる以上、周囲の反応は無視できませんが、自分が本当に描きたいものが何なのかを常に自問し、そこだけは譲らないようにすると作品に芯が通ってきます。


  1. 生活の安定と画業の両立


 多くの人が気になるのは、やはり収入面でしょう。作品が売れず、画家としての活動だけでは生活が成り立たない時期には、別の仕事を掛け持ちしたり、アルバイトをしながら創作の時間を確保していました。経済的に不安な状態が続くと精神的にも追い詰められ、創作自体を楽しめなくなってしまいます。


 逆に、生活の基盤がある程度安定していると、絵に対してより長期的な視野を持てるようになります。私の場合は、地元のアルバイトや短期の仕事をしつつ、「月にこれだけは創作に使う時間を確保する」という目標を立てていました。焦る気持ちはわかりますが、無理に画家一本で食べようとせず、柔軟に働き方を工夫するのも選択肢の一つです。実力がついてくれば、徐々に制作依頼や販売数も増えてくるはずです。


  1. スキルアップのための学び方


 「画力が足りない」「技術的な課題をどう克服すればいいのか」という悩みも多いでしょう。私も大学で本格的な美術教育を受けたわけではなかったので、はじめは自分の技術不足を痛感するばかりでした。しかし、今は書籍やネット動画、ワークショップなど、多様な学びの場があります。自分の課題を明確にしてから、そこに合った学びを探すことで、独学でも確実に技術を磨くことは可能です。


 また、地元やオンラインのコミュニティに参加し、お互いの作品を見せ合いながら意見交換するのも大きな刺激になります。自分の得意分野は伸ばし、苦手分野は人の助言を聞いて補っていく――そうやって少しずつできることを増やしていくうちに、「あの時は描けなかった表現ができるようになった」と実感する瞬間がやってくるのです。


  1. ターニングポイントは「人との出会い」


 画家は一人で黙々と創作するイメージがあるかもしれませんが、私の活動を大きく変えてくれたのは、人との出会いでした。特に「出張サービス」という形で依頼主のもとを訪れて絵を描くようになったのは、同じ価値観や興味を持つ人と直接触れ合える機会が増えたからです。


 「こういう雰囲気の絵を飾りたい」「この色合いで部屋にアクセントをつけたい」といった具体的なリクエストを聞きながら作業すると、今までとは違う角度から絵と向き合う必要が出てきます。それが自分の視野を広げ、柔軟性を身につけるきっかけになりました。さらに、そこで生まれた縁が口コミへと繋がり、思わぬ展示やコラボレーションの話が舞い込むことも少なくありません。


  1. 自分のスタイルを確立する


 一人ひとりの画家に、それぞれの個性や強みがあります。私の場合は、北海道の自然や四季折々の風景にインスピレーションを得た作品が多いですが、それを突き詰めていくことで「この人の絵だ」とわかるスタイルが少しずつ形作られていきました。あえて流行や他人の評価を追いかけすぎず、自分の感性を信じて表現し続けることが、やがて“オリジナリティ”となって世に認められるのだと思います。


 もちろん、試行錯誤の過程でいろいろなスタイルを試すことは大切です。ただし、その試行錯誤の中でも「自分が本当に描きたいもの」をしっかり見失わないようにするのがポイントでしょう。特に“失敗”や“思い通りにいかない”経験を重ねるほど、逆に自分の軸が際立ってくるものです。


  1. 続ける力と失敗からの学び


 結局のところ、画家として生きるには「続ける力」が欠かせません。私自身、何度も「この先やっていけるのか」と不安に思い、筆を置こうと考えたこともありました。それでもここまでやってこれたのは、失敗の経験を通じて、少しずつ自分に足りない部分や強みを客観的に把握できるようになったからです。


 失敗は成功への遠回りだと捉えられがちですが、実はそこにしかない学びが必ずあります。むしろ失敗を繰り返すことで、技術や思考が深まり、作品に説得力が生まれてくる。それを自分の糧として受け止められるかどうかが、長い創作活動を続けていくうえでの大きな分かれ道ではないでしょうか。


 いかがでしたでしょうか。ここまでお伝えしてきたポイントは、決して特別なテクニックや華やかな成功例ばかりではありません。むしろ地道で地味な取り組みの連続です。しかし、そこにこそ「失敗から学ぶ」本当の醍醐味があるのだと私は信じています。画家として生きる道は決して平坦ではありませんが、失敗を恐れず、むしろそれを力に変えていける人こそが、やがて自分なりの成功をつかむのではないでしょうか。


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。あなたがもし今まさに失敗や挫折を感じているとしても、その経験は必ずや次のステージへと繋がる糸口になるはずです。私は北海道の地から、これからも自分の絵と真摯に向き合い、さらなる挑戦を続けていきたいと思います。あなたの画家としての一歩を、心から応援しています。


執筆者:寺野彬秀

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こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。普段は風景画をメインに描きながら、時には出張サービスという形で全国を回り、絵を制作・展示しています。こうした活動の中で、多くの方から「自分には絵の才能がないんです」「才能がないとプロ...

 
 

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