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才能がなくても大丈夫?画家になるために本当に必要なこと | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年11月10日
  • 読了時間: 8分

 こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の無名画家・**寺野彬秀(てらの あきひで)**と申します。この記事では、「絵を描く才能がないと思っているけれど、画家になりたい」という方々に向けて、私自身が歩んできた道のりや実感したことを交えながら、「本当に必要なことって何だろう?」というテーマをじっくりと掘り下げていきたいと思います。


 私が画家を志したのは、今から5年ほど前のことです。美大を出たわけでもなく、特別な師匠がいたわけでもありません。もともと絵を描くことが好きで、美術部に所属していた時期もありましたが、その後は普通の会社員として働き、絵に触れない日々が続いていました。そんな私が30代半ばになって「やっぱり絵を描いて生きていきたい」と決意したとき、周囲からは「才能があるの?」「仕事にするなんて無理じゃないの?」という声が聞こえてきました。


 正直、私自身も「自分には大した才能がないんじゃないか」と何度も自問したことがあります。描きたいテーマや技法はある程度頭の中にあっても、いざキャンバスに向かうと筆が止まってしまうことだって多々ありました。しかし、その度に気づかされるのは「才能よりも、描きたい気持ちや続ける力のほうが大切だ」ということ。では、実際にどうすれば“続ける力”を身につけられるのか? 何があれば、才能のあるなしに左右されずに画家としてやっていけるのか? これから私が考える「本当に必要なこと」を5つのポイントに分けてお話ししていきます。


1.“描きたい”という思いを疑わない

 まず一番大事なのは、「自分が何をどれくらい描きたいか」をしっかりと認識することです。周囲に「才能ないよ」と言われようが、内心「自分にはセンスがないんじゃないか」と不安になろうが、それでも描きたいなら、その気持ちがあなたの原動力になります。


 私が画家の道を歩み始めたときのモチベーションは「北海道の風景を自分の視点で切り取りたい」「雪景色の白のグラデーションを徹底的に追求したい」という、ある種のこだわりでした。誰かに評価されるかどうかは分かりません。でも、「描きたい」という想いだけは強くあったのです。そこを疑わずに「とにかく描いてみよう」と筆を握り続けるうちに、少しずつ自分らしい表現を見つけられるようになりました。


 “好き”や“描きたい”をエンジンにすることこそ、才能よりもはるかに強力です。たとえ周りの評価に振り回されても、最終的に戻ってくるのは「自分はなぜ描きたいのか」という問い。その答えがしっかりしていれば、才能に不安を感じる瞬間も踏みとどまることができます。


2.継続は力なり、でも無理は禁物

 「継続は力なり」という言葉は、絵の世界でも本当にその通りです。ただし、がむしゃらに毎日10時間描き続ければいいというわけでもありません。無理をしすぎて疲弊してしまったり、楽しさを見失ったりすると、それこそ才能云々の前に挫折してしまいます。


 私の場合、いきなり画家一本に絞る勇気はありませんでした。最初は地元企業のアルバイトなどをしながら、空いた時間にコツコツと描く生活。収入が安定しない時期は不安でいっぱいでしたが、その頃に描いた絵が少しずつ評価され始めたり、人から依頼を受けて出張サービスを始めるなど、新しい可能性が開けたのです。


 大切なのは、自分が無理なく続けられるペースやスタイルを見つけること。たとえ週に一度でも、月に数回でも、コンスタントに筆を握っていれば、その積み重ねは確実にあなたを成長させます。才能は“急に目覚める”ものではありません。小さな努力の積み重ねで、自分でも気づかないうちに伸びていくものだと実感しています。


3.自分の強みを知り、そこを伸ばす

 才能がないと感じる最大の理由は、「得意分野が見つからない」ということかもしれません。でも、最初からオールラウンダーを目指す必要はありません。風景画が好きなら風景画をとことん突き詰めればいいし、人物画が得意ならポートレート専門で始めてみるのも手です。「自分にはこれしかない!」と思うくらい得意なものを伸ばしていくと、不思議とほかの表現も連動して上手くなったりします。


 私の場合は「北海道らしさ」を描くことが好きで、自然景観や動物、農村風景などをモチーフにしています。もともと美術の教科書に出てくるようなデッサン力には自信がなかったのですが、代わりに色彩感覚や構図の面での工夫を強みとして活かすようになりました。たとえば、雪の白色を何層にも重ねて奥行きを出す技法だったり、空のグラデーションを大胆な筆づかいで描くといった、自分ならではの表現を見つけることで「これが俺のスタイルだ!」と胸を張れるようになったのです。


 誰にも得意不得意はありますが、才能というのは“得意を見つける力”と言い換えてもいいかもしれません。もし自分に強みがあるなら、そこにフォーカスしてみてください。逆に苦手な部分は、後々少しずつ補強すればOKです。


4.環境を選ぶ勇気と、今ある環境を活かす工夫

 画家になるためには、ある程度の環境整備も必要です。とはいえ、大きなアトリエや高価な画材、都会のギャラリーとの繋がりなど、最初からそろえるのは難しいですよね。私も北海道の片隅の小さなアパートでスタートしましたし、冬場は寒さ対策に毛布をかぶりながら描くことだってありました。


 そんな私が心がけたのは、「今ある環境を最大限に活かす」こと。例えば、SNSで作品を公開したり、ブログで製作過程を発信したり。そうすることで、自宅にいながらにして多くの人の目に触れる機会を増やすことができました。また、近所のお店に自作の絵を飾ってもらうよう交渉してみる、地元のイベントに出展してみるなど、手の届く範囲で少しずつ活動を広げていきました。


 もちろん、「本気で画家になりたいから上京したい」という選択肢もありです。でも、どこに住むか以上に大切なのは、「自分が創作しやすい場所を確保し、発信の場を探し続けること」。都会であれ、地方であれ、あなたの作品を求める人はきっと見つかります。大切なのは、動き続けること。そして今置かれた環境からの“学び”を見逃さないことです。


5.人との繋がりを大切にし、刺激を交換する

 才能の有無に悩むとき、多くの場合は自分だけの視点に閉じこもっていることが多いです。しかし、画家として活動するうえで欠かせないのは、人との繋がりです。とくに無名のうちは、自分を知ってもらうための広報活動はもちろん、同じような境遇や志を持つ仲間との情報交換は非常に大きな力になります。


 私が出張サービスを始めたのは、人と直接関わりながら絵を描きたいという想いが強かったからです。依頼主さんのご自宅や店舗へ赴くことで、そこで暮らす方のライフスタイルや好みを生で感じ取り、その雰囲気を作品に反映させる。すると、絵だけでなくストーリーごと“共有”できるような感覚が生まれました。そこから口コミで広がり、新たな依頼が舞い込んでくることも増えたのです。


 また、SNS上や地域のアートイベントなどで他のアーティストと交流すると、「こんなテーマを描いてみたい」「こんな技法に挑戦したい」という刺激をもらえるのが嬉しいです。才能があるかないかは、周囲の意見にも左右されやすいもの。でも、多種多様な表現者との出会いは、自分の視野を広げる最良の機会。自分だけでは思いつかない作品のアイデアやモチベーションが、思わぬところから湧いてくることがあります。


まとめ:才能よりも“意志”と“行動力”が鍵

 ここまで読んで、「才能がなくても画家になれるものだろうか?」と感じている方もいるかもしれません。でも、私が5年間の活動を通じて確信したのは、「画家という道は、才能がすべてを決めるわけではない」ということです。もちろん、光る才能を持っている方はいますが、そうでなくても描き続けること、学び続けること、そして人との繋がりを大切にすることで、自分なりの表現を確立できるはず。


 最後に挙げたポイントをもう一度まとめてみます。


“描きたい”という思いを疑わない

継続は力なり、でも無理は禁物

自分の強みを知り、そこを伸ばす

環境を選ぶ勇気と、今ある環境を活かす工夫

人との繋がりを大切にし、刺激を交換する

 私自身が無名の画家として日々奮闘する中で感じるのは、「才能がないのでは?」という不安は、実は多くの人が共有しているということです。けれども、その不安に押しつぶされるよりも、「じゃあどうやって工夫すれば自分らしい表現を確立できるか?」を考え続けるほうが、絵を描く楽しさを味わいながら前に進めます。


 ですから、もしあなたが「画家になりたいけど才能が……」と思い悩んでいるなら、ぜひこの5つのポイントを頭の片隅に置いてみてください。おそらく、今すぐにでもできることが何かしら見つかるはずです。ちょっとした行動の積み重ねが、やがて大きな成果へと繋がる瞬間を、私自身何度も経験してきました。


 「才能がなくても大丈夫?」という問いに対して、私は胸を張って「大丈夫だよ!」と言いたいです。むしろ、才能がないと自覚しているからこそ必死に描き、学び、人と繋がり、試行錯誤を繰り返す。そのプロセスこそがあなたの強みになり、作品に独自の魂を宿らせてくれるのではないでしょうか。


 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。私もまだまだ成長途中の無名画家ですが、北海道の大地から得られるインスピレーションと、全国の人々とのご縁を大切にしながら、これからも絵を描き続けていきます。もし興味を持ってくださった方がいれば、SNSなどでぜひ作品を覗いてみてくださいね。


 あなたの「描きたい」という想いが、才能の有無に左右されることなく、どんどん広がっていくことを願っています。どうか自分のペースを信じて、筆を握り続けてください。それが画家への道を切り開く、何よりの原動力になるはずです。


執筆者:寺野彬秀

© 2025 寺野彬秀

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