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30代・40代からでも遅くない!今から画家になる方法 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年11月30日
  • 読了時間: 8分

 こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。もともと美術大学を卒業したわけでもなく、長い間まったく別の仕事をしていましたが、30代半ばを迎えた頃に「やっぱり絵を描いて生きていきたい」という思いが強まり、思い切って画家への道を歩み始めました。

 絵の世界と聞くと、子どもの頃からずっと描いていたり、10代のうちに美術系の専門教育を受けていたりと、若い頃から本格的に取り組まないと難しいイメージがあるかもしれません。でも、実際には30代や40代から本腰を入れて絵を始め、画家として活躍している人も少なくありません。

 この記事では、「今からでも画家になれるの?」と不安に思っている方に向けて、私自身の経験も踏まえながら“今から画家になる方法”をまとめてみました。特別な学歴や実績がなくても、年齢を重ねていても、絵を描く情熱さえあればきっと道は開けます。ぜひ参考にしてみてください。


  1. まずは“描きたい気持ち”を再確認する


 30代・40代から画家になると決めたとき、周囲から「今さら無理じゃないの?」と言われることがあるかもしれません。あるいは自分自身が「もう遅すぎるんじゃないか」と不安に思うこともあるでしょう。そんなときこそ大切なのは、「なぜ自分は今、絵を描きたいのか」という気持ちを再確認することです。

 私の場合、「北海道の四季折々の風景を、自分の視点で描き残したい」という思いが原動力でした。どんなテーマでも構いません。子どもの頃から好きだったイラストを本格的に描きたい、心の中にあるイメージを具現化したい――その強い“理由”こそが、後々の苦労を乗り越えるためのエネルギーになります。


  1. 少しずつ“描く習慣”を取り戻す


 長い間絵に触れていなかった人ほど、いざ筆を握ろうとすると何から始めればいいか迷うかもしれません。そんなときは、高価な道具や大きなキャンバスをそろえる前に、まずは気軽にスケッチブックやシャープペンで簡単なデッサンを始めてみてください。

 大切なのは、描くことを“特別な行為”にしすぎないことです。最初は慣れないかもしれませんが、通勤時間の合間や休日の1時間だけでも、スケッチブックを開いて手を動かす習慣を作ると、少しずつ「絵を描くのが当たり前」という感覚が戻ってきます。描き進めるうちに「やっぱり楽しい」「もっと描きたい」という気持ちが膨らんでくるはずです。


  1. 基礎力アップのために“学び”を取り入れる


 「自己流で描いてきたから、今さら基礎を学ぶのは気が引ける」という方もいるかもしれません。でも、30代や40代だからこそ、基礎力を固めるための学びに対して柔軟に取り組める利点があります。時間や資金に余裕がある場合は、絵画教室やオンライン講座を利用してもいいですし、独学メインでも、デッサンや色彩についての専門書・動画解説などを活用する方法もあります。

 私も、はじめは独学で描き進める中で「デッサンが甘いせいか、絵に立体感が出ない」と感じたことをきっかけに、地元のカルチャーセンターの短期講座へ通ってみました。講師や他の受講生との交流を通じて、自分では気づけなかった弱点を学びながら補強できたのが大きかったです。


  1. 自分の“強み”や“テーマ”を見つける


 若いころからずっと描き続けている人と比べて、30代・40代から始める人には、人生経験の豊富さというアドバンテージがあります。仕事や子育て、趣味、旅などを通じて培ってきた視点や感性は、きっとあなた独自の表現を生み出す大きなヒントになるはずです。

 たとえば、長年カフェ経営に携わってきた方なら“コーヒーのある風景”をテーマにしたシリーズを描くかもしれませんし、自然が好きな人はアウトドア体験を通じて得たインスピレーションを作品に昇華できるかもしれません。若い頃にはない視点が作品の個性に直結し、それが“強み”として輝くことも多いのです。


  1. SNSやオンラインを活用して“発信”する


 年齢を問わず、多くの人にとってSNSは作品を知ってもらう絶好のチャンスです。特に30代・40代以上の方は、「インターネットやSNSは若い人のもの」という先入観を持っているかもしれませんが、今やアート界の情報交換や作品発表の場としてSNSは欠かせない存在になっています。

 InstagramやTwitter、Pinterestなど、画像やイラストに適したプラットフォームはいくつもあります。最初は小さな反応しか得られなくても、続けていくうちにフォロワーが増え、「ぜひ作品を購入したい」「展示会があれば行きたい」と声がかかるかもしれません。オンライン上でつながった人が、後々リアルの場で応援してくれるケースも少なくありません。


  1. 展示会やギャラリーへの挑戦


 実際に作品を目で見てもらう場を作ることは、画家として成長するうえでとても大切です。カフェやギャラリーでの展示、地域のアートイベントへの参加など、小さなところから始めてみましょう。出展料がかかる場合もありますが、直接お客さんや他の出展者から感想を聞くことで、SNSだけでは得られない学びや交流が生まれます。

 私が初めて参加したのは、地元の商店街が主催する小さなアートマーケットでした。ほとんど売れませんでしたが、作品を見た通りすがりの人と会話が弾んだり、他の作家さんと悩みを共有できたりしたのは大きな収穫でした。展示の経験を積むほど、自分の作品の見せ方やアピールポイントも洗練されていくように思います。


  1. 複数の仕事を掛け持ちしてみる


 30代・40代ともなると、生活費や家族の事情もあり、いきなり“画家一本で生きていく”のは簡単ではありません。そこでおすすめなのが、別の収入源を確保しつつ、少しずつ画家の仕事を増やしていくやり方です。副業やアルバイト、在宅ワークなどと併用しながら、絵に充てる時間を確保する人は少なくありません。

 私も最初の頃は地元企業のパートをしながら、夜や休日に制作を進めていました。そうすると、経済的な不安に追われて焦ることが減り、作品づくりに集中できる余裕が生まれます。安定した収入があるからこそ、思い切った挑戦や試行錯誤ができる面もあるのです。


  1. 人脈を広げ、新たなチャンスを得る


 画家として活動するうえで、人とのつながりは思いのほか重要です。特に30代・40代の方は、これまで培ってきた人脈やコミュニケーション能力を活かし、展示会やSNSだけでなく、地元のイベントや勉強会など積極的に参加してみましょう。

 意外なところから「こんな仕事があるけど、興味ない?」と声をかけられたり、コラボレーションの話が舞い込んだりすることもあります。私も、ある個展に来てくださった方が別の町でのイベントを紹介してくれて、そこから展示活動の幅が広がった経験があります。自分一人で閉じこもらず、外に出て人と交流する中で、新しい可能性はどんどん見つかるものです。


  1. 失敗や遠回りを恐れず“試行錯誤”を楽しむ


 30代・40代にもなると、「無駄な遠回りはしたくない」「失敗するのが怖い」という気持ちが強くなりがちです。でも、絵の表現や売り方は、実際にやってみないとわからないことばかり。最初から完璧に仕上げようとせず、むしろ“失敗を通じて学ぶ”姿勢が大切です。

 例えば、新しい画材にチャレンジしたら思うような発色が得られず苦戦したり、参加したイベントでまったく売れなかったりすることは、よくある話です。だけど、その経験こそが次の改善やアイデアにつながります。30代・40代の強みは、過去の経験から柔軟に学ぶ能力を持っていること。試行錯誤こそが自分らしいスタイルを確立する近道だと信じて、一歩ずつ進んでみてください。


  1. “描き続ける”ことで道が開ける


 最後に、最も大切なのは“描き続ける”というシンプルな行動です。絵を描くモチベーションが上下することは誰にでもありますが、その波の中でも筆を持ち続ける人が、最終的に画家としての道を切り開いていきます。

 30代・40代からのスタートには、体力的や時間的な制約もあるかもしれません。それでも、好きなものを描き続けるうちに技術は磨かれ、人との出会いも増え、少しずつ評価が高まっていくはずです。周囲から「遅い」と言われようが、自分のペースで続ければ、必ずそれを必要としている人との縁が生まれます。

 年齢は関係ありません。あなたが「今からでも絵を描きたい」と思ったその瞬間が、いちばん若いタイミングです。大切なのは、始めること、そして続けること。遠回りに見える道が、じつはあなたにしか描けない絵を生む最短ルートかもしれません。


 いかがでしたでしょうか。30代・40代からでも、十分に画家を目指せる具体的な方法や心構えをお伝えしました。私自身も、同じような不安や迷いを抱えながらここまで歩んできましたが、描き続けているうちに作品を見てくれる人が増え、新しい活動の場が広がり、今では道内外から出張依頼をいただけるようにもなりました。

 あなたも、ぜひ自分のペースで絵と向き合い、“なぜ描きたいのか”という原点を大切にしながら、一歩一歩進んでみてください。たとえ遅いスタートに思えても、描き始めたその日があなたの画家人生の第一歩。次にどんな世界が待っているのか、ワクワクしながら進んでいければ、年齢の壁などきっと乗り越えられます。


執筆者:寺野彬秀

© 2025 寺野彬秀

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