top of page

絵を描くのが楽しくなる!スランプを抜け出す方法 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年12月4日
  • 読了時間: 8分

こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。絵を描くことが好きであっても、ある日突然「描きたいのに全然手が動かない」「何を描いてもしっくりこない」といったスランプに陥る経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。実際、私もこれまで数え切れないほどのスランプを乗り越えてきました。そのたびに「もう絵をやめてしまいたい…」と落ち込みながらも、何とか抜け出して再び描く喜びを取り戻してきたのです。


スランプはアーティストにとって避けがたいものかもしれませんが、必ず抜け出す方法はあります。今回は、私自身の経験や同じ道を歩んできた仲間から学んだヒントをもとに、「絵を描くのが楽しくなる!スランプを抜け出す方法」をお伝えしたいと思います。もし今まさにスランプの真っ只中にいるという方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。少しでも心が軽くなり、再び筆を握る活力につながれば幸いです。


1. まずは“今の自分”を受け止める


スランプに陥ったとき、私たちはつい「もっと描かなければ」「才能がないのでは」と自分を追い詰めてしまいがちです。ですが、まず大切なのは「自分はスランプにいるんだ」と素直に受け止めること。無理やり否定してしまうと、余計にストレスや自己嫌悪が増してしまいます。


私も以前は「描かなきゃ」「一枚でも多く仕上げなきゃ」と自分を急かしていましたが、思うように進まないときは深呼吸して「今はうまくいかない時期なんだな」と認めるようにしました。そうすると不思議と心がふっと軽くなり、「無理に描かなくてもいい」という許しが生まれます。いったん気持ちをリセットすることで、再スタートするための精神的な余裕が生まれるのです。


2. 違うアプローチや画材に挑戦してみる


スランプを抜け出す方法のひとつとして、“普段と違う描き方”に挑戦するのは効果的です。たとえば、いつも油絵を描いているのなら水彩やアクリルに手を出してみる、デジタル中心ならあえてアナログのスケッチブックを使ってみる…というように、自分にとって新鮮なアプローチを試してみましょう。


私自身、メインはアクリル画なのですが、スランプを感じたときはスケッチブックにペンで線画を描く練習をしたり、筆の代わりにパレットナイフやスポンジを使ってみたりして気分転換を図りました。慣れない画材を使うと最初は戸惑いますが、新しい表現が生まれる楽しさを再確認できるチャンスでもあります。スランプを好奇心で打ち破るイメージを持つと、思わぬ発想がわいてくることもあるのです。


3. “描く”以外の時間を積極的に楽しむ


スランプに陥ると、「もっと描かないと」という焦りから作品づくりに余計なプレッシャーをかけてしまいがちです。そういうときこそ、あえて“描かない時間”を意識的に作るのも有効な戦略。映画を観る、本を読む、音楽を聴く、自然の中を散歩するなど、自分の五感を刺激してリラックスできる趣味に没頭してみてください。


私の経験上、無理に机に向かって描こうとしても空回りするばかりのときは、まったく違うアクティビティをすることで頭をリセットできるように思います。北海道の大自然の中を歩いたり、美術館巡りをして他の作家の作品に触れたりするうちに、新しいアイデアや描きたいテーマがふっと降りてくることがよくありました。描かない時間も決して無駄ではなく、むしろ創作意欲を再燃させる“肥料”になるのです。


4. スケッチや落書きでハードルを下げる


スランプのときは、「ちゃんとした作品を描かなきゃ」という意識が自分を苦しめる一因になることが多いです。そこでおすすめしたいのが、あえて“落書き”のように気軽なスケッチを続けること。評価される前提ではなく、ただ自分のために線を走らせる時間を作るのです。


私も、スランプに陥ったときはキャンバスや高級な画材を使わず、メモ帳やコピー用紙にざっくりとイラストやデザイン案を描いています。友人との会話をしながら手が勝手に動くような、何の気負いもない落書きが意外と面白いアイデアの源になったりするんですよね。完成度を求めないからこそ、自由に表現できる。この“自由さ”がスランプ脱出へのきっかけになることがあります。


5. 他のアーティストや仲間と話す


スランプは一人で抱え込むと、どうしても思考が堂々巡りになりがちです。そんなときは、思い切って他のアーティストや同じ趣味を持つ仲間と話をしてみるのがおすすめ。共感してもらえるだけでも心が軽くなるし、思わぬアドバイスや新しい視点をもらえることがあります。


私の場合、SNSを通じて知り合った画家仲間と“オンラインおしゃべり会”を開き、「最近ぜんぜん描けないんだよね」「こんなテーマに挑戦してみようか悩んでる」などを気軽に共有することで、気づかなかったヒントをもらえたりしました。仲間がいるとスランプの孤独感が薄れますし、自分が思いつかなかったアイデアを聞くと、「試してみようかな」と前向きな気持ちに変わっていきます。


6. 過去の作品を見返し、“成長”を実感する


スランプが続くと、「自分はまったく成長していないのでは」と悲観的になってしまいがちです。そこで、過去に描いた作品をあえて引っ張り出して眺めてみるのも一つの手。少し前の作品と今の作品を比べてみると、意外なほど技術や表現力がアップしていることに気づくかもしれません。


私も、数年前の絵を見返すと「こんなに彩色が粗かったんだ」「遠近感の取り方がぎこちなかったな」と感じることが多々あります。逆に言えば、それだけ今は当時よりもスキルが上がっている証拠だということ。同じように「ここは昔より良くなった」と気づくと、「自分は確かに進歩しているんだ」と自信が湧いてきます。スランプのときほど、“過去の自分”との比較は励みになるものです。


7. 小さな目標を設定して“成功体験”を積む


スランプ期は、大きな目標を掲げるほどに重圧が増し、自分を追い詰めてしまうことがあります。そこで意識したいのが、“小さな目標”を立てることです。たとえば「今日は色鉛筆の似顔絵を1枚仕上げる」「3日以内に風景のラフスケッチを5枚描く」など、手が届きそうなゴールを設定してクリアしていくと、成功体験を得やすくなります。


私も、個展の準備などで気ばかり急いてしまうときは、「今日は作品を完成させるのではなく、ここまで進めることが目標」と決めて作業に取りかかります。無理なく達成できる目標があると、「やればできた」というポジティブな気持ちが生まれ、それが次のステップへのエネルギーになってくれます。大きな成果を焦るよりも、小さな積み重ねがモチベーションの向上には効果的だと思います。


8. 新しいテーマや世界観に飛び込む


スランプは、現状のテーマや世界観に自分が飽きてしまったり、行き詰まりを感じたりしているサインでもあります。そこで一度、自分が描いたことのないテーマやまったく違う世界観にチャレンジしてみるのも面白いです。たとえば、普段は風景画を描いているなら人物画や抽象画に挑戦してみる、デジタルツールを使ってみるなど、新しい刺激を取り入れるイメージですね。


私は北海道の風景画をメインに描いていますが、スランプ中はあえて都会の街並みや人物を大胆にデフォルメしたイラストを描いてみることがあります。すると、自分の中に「こんな表現もできるんだ」という発見があり、再び風景画を描くときにも新鮮な視点を取り込めたりします。スランプを“視野を広げるチャンス”と捉えることで、停滞感から抜け出すきっかけを作りやすくなるのではないでしょうか。


 以上、絵を描くのが楽しくなるためのスランプ脱出法をいくつかご紹介しました。もう一度まとめると、


1. まずは“今の自分”を受け止める

2. 違うアプローチや画材に挑戦してみる

3. “描く”以外の時間を積極的に楽しむ

4. スケッチや落書きでハードルを下げる

5. 他のアーティストや仲間と話す

6. 過去の作品を見返し、“成長”を実感する

7. 小さな目標を設定して“成功体験”を積む

8. 新しいテーマや世界観に飛び込む


スランプに陥ったときは、自分を責めたり悲観したりするのではなく、「ここをどう乗り越えるか」が大切になります。焦る気持ちはわかりますが、絵を描く本来の楽しさを思い出すために、あえて遠回りすることもときには必要です。


私はこれまで何度もスランプを経験し、そのたびに「もう絵は描けないかもしれない」と思ってきました。それでも、今回紹介したような方法を試しながら少しずつ抜け出し、結果として新たな表現方法やアイデアを手に入れることもできました。スランプは自分の可能性を見直す機会でもあるのです。


もし今あなたがスランプの真っ最中で苦しい思いをしているなら、まずは一歩立ち止まって、できることから試してみてください。もしかしたら、“描かない時間”こそが次の作品へのヒントを生むかもしれません。スランプは永遠に続くわけではありませんし、必ず抜け出す日が来るものです。


絵を描くのは本来、楽しくてわくわくする行為。スランプを乗り越えた先には、きっと以前よりも一回り成長した自分と、さらに魅力的な作品が待っているはずです。あなたの創作活動が、再び喜びに満ちたものになりますように。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


執筆者:寺野彬秀

最新記事

すべて表示

© 2025 寺野彬秀

bottom of page