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プロの画家が教える!挫折しそうなときの乗り越え方 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年11月13日
  • 読了時間: 10分

 こんにちは。この記事をご覧いただきありがとうございます。私は1980年生まれ、北海道在住の無名画家からキャリアをスタートし、現在はプロの画家として活動している**寺野彬秀(てらの あきひで)**と申します。画家としての道を歩む中で、多くの方から「挫折しそうになったとき、どう乗り越えてきたの?」という質問をいただくことが増えてきました。そこで今回は、私自身が体験してきた“挫折の数々”と、それをどうやって乗り越えたのかをじっくりとお話ししたいと思います。


 挫折という言葉は、私たちが何かを目指すうえで切っても切り離せない存在です。技術的な壁、経済的な問題、人間関係の悩み、自己肯定感の低下……とにかく芸術の世界は厳しく、続けるほどに高い壁が次から次へと立ちはだかります。私も何度も「もう絵を描くのをやめたい」と思ったことがありました。それでも筆を握り続けてこられたのは、いくつかの“心の支え”や“乗り越え方”を身につけていたからです。


 本記事では、挫折しそうになっている方への具体的なアドバイスはもちろん、私自身が感じた悔しさや苦しさ、その一方で得られた学びも包み隠さずお伝えしていきます。あなたがもし「もう限界かも」と思っているのなら、ぜひ最後まで読んでみてください。一歩先に進むヒントを見つけていただければ幸いです。


1.まずは“挫折”を受け入れる勇気を持つ


 意外に思われるかもしれませんが、挫折を感じたときに最初にやるべきことは「それを素直に認める」ことだと私は考えています。多くの人が、挫折しそうな状態に陥ると「まだ大丈夫」「気のせいだ」と無理やり自分をごまかしてしまう。あるいは、自分が弱いからだと一方的に責めてしまう。でもまずは、“挫折”という事実を正面から受け止めることが、次の行動につながる大切な一歩です。


 私の場合、画家の道を志した当初は、何度アートイベントに出展しても作品が売れない時期が続きました。周りの作家さんが評価されているなかで、自分はひたすら無視されているような気がして、心が折れかけました。そのとき「自分は才能がないから仕方ない」と投げやりになるのではなく、「こんなにも認められないというのは、どういう理由だろう?」と冷静に現状を受け止められたのが大きかったんです。「悔しい」と感じる気持ちこそが、次に進むエネルギーになることを実感しました。


 “挫折している自分”を責めすぎない、逃げずにちゃんと向き合う。そこからすでに、次のステージの扉は開き始めているのだと思います。


2.失敗を“分析”し、自分なりの“仮説”を立てる


 挫折というのは、物事が上手くいかずに失敗してしまった結果ともいえます。ただ、失敗は悪いことばかりではありません。失敗には原因が必ずあるはずで、そこを丁寧に振り返り、分析すれば学びが得られるのです。


 私がやっていたのは、「どこがダメだったのか」を明確にするためのチェックリスト作りでした。たとえばアートイベントで作品が売れなかった場合、以下のような項目を振り返ります。


- **作品のテーマ**:自分が描いているテーマが、ターゲットやその場の雰囲気に合っていたか?

- **価格設定**:値段は妥当だったか? 高すぎないか、あるいは安すぎないか?

- **ブースのデザイン**:作品の並べ方や照明、説明文の配置に工夫はあったか?

- **コミュニケーション**:来場者や他の作家さんとの対話をしっかりできていたか?


 こうしたポイントをチェックしていくと、「自分は価格設定の根拠を明確に説明できていなかったな」「作品の見せ方が雑で、伝えたいイメージが伝わらなかったかもしれない」など、改善できる具体的な項目が見つかります。すると、「次はこうしてみよう」という仮説が自然と生まれるわけです。


 “失敗”を感情だけで処理せず、一度頭を使って整理してみると、「ああ、これを変えたら次はいけるかもしれない」という希望が湧いてきます。そうして行動を変えていけば、結果が変わる可能性は十分にある。これは何度も挫折を味わった私がたどり着いた、大切な教訓です。


3.小さな成功体験を積み上げる“モチベーションの再構築”


 挫折から立ち直るには、何かしらの「成功体験」が必要です。でも、いきなり大きな成功を目指すのはハードルが高い。そこで私は、少しだけ目標を下げてみたり、身近な人に自作の絵を見せてリアクションを聞いてみたりと、もっと小さな成功体験を積むように心がけました。


 たとえば、以前の私は「1枚も作品が売れなかったらどうしよう」という強い不安を抱えてイベントに参加していました。でも、その結果ばかりに囚われると、緊張でうまく人と話せなかったり、自分の作品の魅力を伝えるのを忘れたりしてしまうんですね。そこで「イベント中に10人としっかり会話する」とか「作品の一つ一つについて、必ず説明を1回はする」といった“行動目標”を設定したんです。結果、売上はそれほど伸びなくても「来場者の反応はこうだった」「この作品が特に興味を引いていた」など、得られる情報が増えました。そうして得たポジティブな手ごたえは、「次も頑張ろう」と思える原動力になります。


 大きな目標に挑戦するのは素晴らしいことです。でも、挫折しかけているときは、無理に高い理想を追いかけるよりも「今すぐ達成できそうな小さな目標」を設定して成功体験に変えていくほうが、はるかにモチベーションを高めやすいと感じます。


4.“評価”よりも“過程”を大切にする意識


 挫折を感じる一番の理由は、「思うように評価されない」ことではないでしょうか。絵を描く人なら誰でも、自分の作品を認めてもらいたい、いい評価を受けたいという気持ちがあるはずです。しかし、評価はコントロールできません。どんなに力を入れて描いた作品でも、好みに合わない人からは見向きもされない。そういうことが続くと、自信を失いやすいんですよね。


 そこで私が意識しているのは、「評価できるのは自分自身だけ」という考え方です。自分が納得いくまで描いたのか、あるいは妥協してしまったのか。そのプロセスで生じた学びは何だったのか。そういった“過程”をしっかり振り返るようにしています。


 評価基準を外部に求めると、どうしても翻弄されがち。でも、自分の描く理由や方法をきちんと理解し、過程を楽しめていれば、一時的に世間の評価が低くても「自分にはまだ伸びしろがある」と思えるようになるのです。絵を描く喜びを思い出すことで、「もっとこうしてみよう」と前向きな気持ちに変えられる。それが作品にもいい影響を与えてくれると信じています。


5.視野を広げる“第三者の存在”を取り入れる


 挫折感に押しつぶされそうなときは、どうしても視野が狭くなり、自分の欠点ばかりに目が向きがちです。そんなときこそ、第三者の視点を取り入れるのが効果的。信頼できる仲間や先輩、友人、あるいはプロのアドバイザーでもかまいません。自分と違う視点を持つ人に「ここを直したらもっと良くなるよ」「この強みを活かした方がいいよ」と言ってもらうだけで、驚くほど気持ちが軽くなることがあります。


 私が大きく変わったきっかけの一つは、出張サービスを始めたときに出会った依頼主さんたちの声でした。直接「この色づかいが好き」「こういうモチーフも描いてみてほしい」と言われると、自分が当たり前と思っていた表現を見直すきっかけになるんです。また、自分では意識していなかった長所を指摘されることもあり、「そうか、ここが評価されるポイントだったのか!」と目が開かれることもありました。


 もちろん、第三者の意見をすべて受け入れる必要はありません。でも、自分ひとりの頭の中だけで考えていると、袋小路にハマってしまうことが多い。挫折しそうなときこそ外部の声に耳を傾け、“新しい視野”を手に入れることで、立ち直りへのヒントを見つけられるはずです。


6.“自分の物語”を取り戻す


 挫折を繰り返しているときは、「そもそも何のためにこれをやっているんだっけ?」と見失いがち。しかし、私たち一人ひとりには、必ず“描きたい理由”や“目指す方向性”というものがあるはずです。そこがクリアになっていれば、多少の失敗では揺るぎません。


 私は北海道の雄大な風景や雪景色に魅せられ、「北海道の空気を絵に宿したい」という思いから画家を目指しました。その原点を忘れそうになるたびに、外へスケッチに出かけて自然に触れたり、当初憧れていた作品を見返したりして、あらためて「自分は何を描きたいのか」を問い直すようにしています。こうして自分自身の物語を思い出すと、「挫折して終わりたくない」「まだ描ききっていない」と奮い立たせることができるのです。


 あなたが挫折しそうになったとき、ぜひ「なぜこれを始めたのか」を思い出してみてください。そこに描き続ける理由や夢がまだ残っているなら、きっとそれが再び立ち上がる力になってくれるでしょう。


7.休息を恐れない


 「挫折しそうなら、もう少し頑張ろう」と言いたいところですが、体や心が限界を超えてしまうと、休息もなしに続けるのは危険です。芸術は感性が大きく影響する分、モチベーションや体調が悪ければ、絵を描くこと自体が苦痛になることだってあります。


 私もかつて、睡眠不足と過度なプレッシャーで目の前が真っ暗になってしまったことがありました。そのとき無理を続けていたら、きっと今頃は絵をやめていたと思います。だからこそ、あえて数日間は筆を握らずにリラックスしたり、好きな映画を観たり、美味しいものを食べたりして、自分をリセットする時間を取りました。すると、不思議なことに少し休んだだけで「やっぱり描きたい」と自然に思えるようになったんです。


 休むことは決して悪いことではありません。むしろ、長く続けるためには“心身のメンテナンス”は欠かせないプロセス。挫折の淵にいるときこそ、意識的に休息を取り入れてみてください。


8.未来の可能性を“具体的”に思い描く


 最後にお伝えしたいのは、“挫折”の先にある“未来”を具体的に想像することの大切さです。落ち込んでいるときは「こんな状態がずっと続くのでは?」と思いがちですが、本当は未来は決まっていないし、努力し続ければいくらでも変えられるはず。


 私は出張サービスを始める前、経済的な不安から「この先やっていけるのか?」と恐怖でいっぱいでした。でも「2年後にミニ個展を開く」「3年後には道外の依頼も受けられるようになる」という目標を立てて、そこから逆算して何をすべきかを考えていったんです。結果的に、思い描いていたよりも早く道外出張のチャンスが巡ってきて、個展開催も実現することができました。


 目標は、決して高すぎる必要はありません。少し背伸びすれば手が届きそうなラインを設定し、そこへ向かう道筋を具体的に作ってみる。挫折しそうな状況でも、「あれ?こうすれば案外、いけるかも?」という気持ちが湧いてくると、一気に視界が開けてくるものです。


まとめ:挫折はゴールではなく、次のステージへの入り口


 ここまで、私が実際に経験してきた挫折と、それを乗り越えるために大切だと感じているポイントをお話ししました。もう一度振り返ってみると、以下の8つです。


1. **“挫折”を受け入れる勇気を持つ**

2. **失敗を分析し、自分なりの仮説を立てる**

3. **小さな成功体験を積み上げる“モチベーションの再構築”**

4. **“評価”よりも“過程”を大切にする意識**

5. **視野を広げる“第三者の存在”を取り入れる**

6. **“自分の物語”を取り戻す**

7. **休息を恐れない**

8. **未来の可能性を“具体的”に思い描く**


 挫折というのは痛みを伴うものですが、その先には必ず学びや新しいチャンスが待っていると私は信じています。実際に、私がこれまで出会った多くの画家やクリエイターの方も、みんな挫折を一度や二度は経験しています。けれど、その度に諦めずに立ち上がるからこそ、作品や表現に深みが増していくのだと思います。


 もし今あなたが挫折の真っ只中にいるのなら、そこはゴールではありません。むしろ、次のステージへの入り口です。悔しさや不安を上手にバネにして、ぜひもう一度筆を握ってみてください。あなたの描く絵や表現を必要としている人が、必ずどこかにいるはずです。そして、その絵が誰かの心を動かす瞬間を想像すれば、きっともう一歩、前に進む勇気が湧いてくるのではないでしょうか。


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。私もまだまだ挑戦の途中ですが、北海道の地から、これからも多くの方との繋がりを大切にしながら絵を描き続けたいと思っています。あなたの創作の旅も、きっと素晴らしいものになると信じています。一緒に前を向いて、挫折を乗り越えていきましょう!


執筆者:寺野彬秀

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