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好きなことを仕事にするのは無謀?画家が語るリアルな話 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2月7日
  • 読了時間: 6分

こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。私自身、いわゆる「好きなことを仕事にする」を実践している一人ですが、この道に飛び込むまでには多くの迷いや不安がありました。実際、絵を仕事にするのは簡単なことではありませんし、「無謀だ」と周囲から言われるのも当然かもしれません。しかし、私は“好き”が持つパワーを信じており、それこそが長く続けていく原動力になると実感しています。


今回は、「好きなことを仕事にするのは無謀?」という疑問に対して、私なりのリアルな経験や考えを8つの視点からお伝えしたいと思います。これからアートの道を目指す方や、趣味を本業にしたいと考えている方の参考になれば幸いです。


1. 好きだからこそ、生半可な気持ちでは続かない


「好きなことを仕事にするなら、楽しみながらラクに稼げる」と思う人もいるかもしれませんが、実際には好きだからこそ“もっと上手くなりたい”“もっと表現を突き詰めたい”といった強い思いが生まれます。その反面、技術や成果が思うように出ないときの挫折感は大きく、ときには「こんなに辛いなら普通の仕事のほうがマシなのでは」と思うこともあり得ます。私も、絵を本業にするまでに何度も葛藤し、「絵が好きだけど上手くならない」「評価されない」といった悩みで悶々とした日々を過ごしました。好きという気持ちは強いエンジンになりますが、それは同時に厳しい世界へ自分を放り込むことでもあるのです。


2. “プロ”と“アマ”の違いは収入だけではない


「好きなことを仕事にする」というと、どうしても“プロ=収入を得ている人”という定義になりがちです。もちろんそれは一つの基準ですが、実際には“プロ”と“アマ”の境界は思ったより曖昧。売れる絵をたくさん描いていても、内心では満足いく表現ができていない場合もありますし、アマチュアであっても独創性やクオリティが高く、ファンを多く持つ方もいます。私自身、初めはアマチュアとして細々と活動していましたが、ある出会いをきっかけに依頼を受けるようになって自然と“プロ”へ移行した形。大事なのは、“仕事”の形にこだわるよりも、描くことを通じて自分が何を実現したいかを明確にすることだと思います。


3. 収益化の壁は想像以上に高い


好きなことを仕事にする場合、やはり“収益化”という壁は避けて通れません。絵を描くことで生活費や制作費をまかなうには、ある程度安定した収入源を確保する必要があります。ギャラリーで作品を売る、イラストの依頼を受ける、SNSやネット販売を活用するなど、さまざまな方法がありますが、どれも簡単ではありません。私も最初は、作品がまったく売れず、アルバイトをしながら制作費を稼いでいた時期が長かったです。その中で、どうすれば収益を得られるかを模索し、出張サービスやイベント参加など、新しい試みに挑戦してきました。好きなことを仕事にするには、“好き”だけでは乗り越えられない経営的思考も必要だと痛感しています。


4. “好き”が続くからこそ、試行錯誤に耐えられる


仕事として成立させるには、試行錯誤と失敗の連続を覚悟しなければなりません。特にアートの世界は答えがないため、成功パターンを真似するだけではうまくいかない場合も多いです。しかし、だからこそ“好き”という強い気持ちが大きな支えになります。技術的な壁にぶつかっても、イベントでまったく作品が売れなくても、「でも描きたい」という想いがあるからこそ続けられる。私も、何度も挫折しかけたときに「やっぱり絵を描くのが好きだ」と思い返し、それが立ち直りのきっかけになりました。好きだからこそ粘れる――これは大きな強みだと感じます。


5. プロにならなくても、“半プロ”や“兼業”の形がある


好きなことを仕事にするといっても、フルタイムのプロだけが選択肢ではありません。半プロや兼業というかたちで、会社勤めや別の仕事と両立しながら絵を描くことも可能です。むしろ、収入面や精神的な安定を保つために、他の仕事と組み合わせるほうが自分に合っているという人も多いのではないでしょうか。私も、最初から絵一本で食べようとは思わず、アルバイトと並行して描いていました。その中で徐々に依頼や売上が増えて、結果的に独立できた形です。無理にフルタイムのプロを目指さなくても、自分のやり方で“好き”を仕事にしていく道は、実は多様に開けていると思います。


6. スランプや不安定期をどう乗り越えるか


好きなことを仕事にすると、どうしてもスランプや不安定期がやってきます。評価されない、依頼が来ない、創作意欲が湧かない――そんな時期でも投げ出さずに続けられるかどうかが勝負の分かれ目。私も、全然売れなかったころに「これ以上描いて意味があるのかな」と思い詰めたことがありますが、そのときは一度休息をとり、新しい技法を学んだり、全く違うテーマに挑戦したりして気分を変えました。スランプは“次のステージ”へ進むチャンスとも捉えられます。好きだからこそ、なんとかして乗り越えたいと思えるのです。


7. “成功”の形は人それぞれ


一口に「好きなことで成功する」といっても、その成功の形は人によって全く異なります。ある人はギャラリーで大きな個展を開くことが目標かもしれないし、別の人はSNSで多くのフォロワーを獲得してイラストの仕事を受注したいかもしれない。また、単純に“好きな絵を描き続けて心が豊かになればいい”という形の成功もあるでしょう。私自身も、「大きく稼ぎたい」「有名になりたい」と思って始めたわけではなく、“描きたいものを描いて、人と共有できる喜びを味わいたい”という願いが強かったんです。結果として、それを続けるうちに出張サービスやイベント参加など自然な形で収益がついてきた面もあります。成功の形は決して一つではありません。


8. “続けている人”にしか見えない景色がある


最後に、一番大切だと感じるのは、“続けている人”にしか見えない景色があるという事実です。好きなことで食べていけるか不安な気持ちはわかりますが、続けていれば必ず新しいチャンスや出会い、気づきがあります。私も何度か「もうやめようかな」と思ったことがありますが、描き続けたからこそ出張先で素晴らしい依頼者と巡り合えたり、自分の絵をきっかけに仲間が増えたりと、予想もしなかった道が開けました。無謀かもしれない――それでも、好きだから続ける。そんな単純なスタンスが、時に大きな奇跡を生むのではないでしょうか。


以上、「好きなことを仕事にするのは無謀?画家が語るリアルな話」というテーマで8つの視点をお話ししてきました。ざっと振り返ると、


1. 好きだからこそ、生半可な気持ちでは続かない

2. “プロ”と“アマ”の違いは収入だけではない

3. 収益化の壁は想像以上に高い

4. “好き”が続くからこそ、試行錯誤に耐えられる

5. プロにならなくても、“半プロ”や“兼業”の形がある

6. スランプや不安定期をどう乗り越えるか

7. “成功”の形は人それぞれ

8. “続けている人”にしか見えない景色がある


「好きなことを仕事にする」というのは、確かに甘い世界ではありません。リスクや挫折も多く、周囲から「無謀だ」と言われることもあるでしょう。でも、好きという気持ちが本物なら、その道のりで得られる達成感や喜びは何ものにも代えがたいものがあります。たとえ簡単ではなくても、続ける人は必ず何かを掴むと私は信じています。もしあなたが本当に“好き”を仕事にしたいと考えているなら、自分なりのペースで学んだり挑戦したりしてみてください。周りの声や常識を鵜呑みにするより、“好き”から出発して、あなた独自の成功や幸せの形を見つけられることを願っています。


執筆者:寺野彬秀

© 2025 寺野彬秀

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