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SNSを活用して絵を売る!売れない画家が試すべき戦略 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年12月1日
  • 読了時間: 8分

 こんにちは。私は1980年生まれ、北海道を拠点に活動している画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。もともとは無名の状態からスタートし、どこに作品を売り込めばいいのか手探りのまま苦労を重ねてきました。ですが、SNSの存在を意識し始めたことで、作品を知ってもらうハードルが大きく下がったのを実感しています。

 「絵を描いているけれど、売り方がわからない」「SNSを使ってはみるけど、反応がいまいち……」そんな悩みを抱えている売れない画家さんは少なくないでしょう。そこで今回は、私の実体験も踏まえながら、SNSを活用して絵を売るための戦略やコツをまとめてみました。少しでもヒントになれば幸いです。


1. なぜSNSが有効なのか


 かつて、無名の画家が作品を売るには、画廊での個展やアートイベントへの参加、口コミなど、比較的限られた手段しかありませんでした。しかし、今はインターネットを通じて自分の作品を世界中に発信できる時代です。特にSNSは、無料で手軽に始められるうえに、作品の制作過程や完成品をリアルタイムで公開できるという魅力があります。

 私自身、初期の頃は展示会やイベントでの売上だけを頼りにしていました。ところが、SNSを積極的に活用し始めると、遠方の方から直接メッセージで「ぜひ購入したい」と問い合わせをいただくことが増えたのです。また、SNS上で広がった作品の評判がきっかけとなって、新しいコラボ企画やギャラリーとの縁が生まれることもありました。SNSには、アートに関心のある人々との“出会いの場”を広げる大きな力があるのだと痛感しています。


2. アカウントの作り方とブランディング


 SNSを活用するうえで重要なのは、アカウントの“顔”となるプロフィールや投稿の統一感です。自分の画風や作品のテイストを明確に打ち出すことで、潜在的なファンが見つけやすくなります。

 たとえば、プロフィール欄では「北海道在住の画家」「風景画を中心に制作」「出張サービスも承ります」など、自分がどのような活動をしているのかを簡潔にまとめておくといいでしょう。投稿の際も、作品の写真や制作風景を載せるときには、色合いの統一感やアングルを意識すると、一目で“あなたのアカウント”だとわかりやすくなります。

 私の場合は、「北海道の自然や雪景色を描く画家」というイメージをベースに、投稿する写真や作品のテイストを意識的にそろえるようにしました。結果として、道外や海外の方でも「北海道の雰囲気を味わいたい」とフォローしてくれるケースが増えたように思います。


3. 投稿のタイミングと頻度


 SNSはタイミングや頻度も大切です。といっても、厳密な“正解”があるわけではありません。フォロワーが多い人の中には、毎日決まった時間に投稿するルーティンを作っている方もいますし、週に数回、作品の完成度の高い写真だけをアップする方もいます。

 私が試行錯誤して感じたのは、「自分が負担にならないペースを保つ」ことの大切さです。無理をして毎日投稿しようとすると、クオリティが下がってしまったり、投稿作業自体が苦痛になってしまいます。逆に、あまりにも投稿が少ないとフォロワーが離れてしまう。そこで私は、制作ペースに合わせて週2~3回を目安に投稿するようにし、あまり気合いを入れすぎない範囲でやっています。

 また、時間帯もある程度意識しておくと良いでしょう。一般的には夜のゴールデンタイム(20~22時くらい)に投稿すると反応が多いとも言われますが、これもターゲットや作品の特徴によって変わるので、自分でいろいろ試してみてください。


4. 制作過程を見せる


 完成した作品だけでなく、制作過程を公開するのもSNSならではの魅力です。特に絵を買う側にとっては、「どんな想いで描かれているのか」「どんな技法を使っているのか」を知ることで作品への愛着が増し、購入意欲に繋がることが少なくありません。

 私も筆を走らせている動画や、下絵から色を重ねていく様子などを時々アップしています。「絵が出来上がるまでのストーリー」を共有すると、フォロワーの方とのコミュニケーションが深まるだけでなく、作品に対する価値をより強く感じてもらいやすくなります。

 また、制作中の写真を載せる際には、少し演出を加えてみるのもありです。例えばキャンバスやパレットを素敵な配置で撮影してみると、ただの制作風景が一枚の“作品”のように見えて、受け手の興味を引きやすくなります。


5. ハッシュタグやキーワードの活用


 ハッシュタグやキーワードの使い方は、SNSを効率的に活用する上で重要なテクニックの一つ。たとえばInstagramなら、投稿のキャプションやコメント欄に関連するハッシュタグを複数つけることで、同じ趣味や興味を持つユーザーの目に留まりやすくなります。

 私の場合、「#北海道」「#風景画」「#雪景色」などの地域やテーマに合わせたタグをつけることが多いです。それに加えて、「#アクリル画」「#手描きイラスト」など、具体的な技法や制作スタイルもタグに含めています。そうすることで、絵を探している方だけでなく、同じ技法を学びたい人にも見つけてもらいやすくなりました。

 また、英語や他の言語のハッシュタグを入れるのも効果的です。たとえば「#landscapepainting」「#acrylicart」などを使うことで、海外のフォロワーが増える可能性もあります。


6. 作品の価格や販売方法をわかりやすく提示


 SNSでいくら作品を見てもらっても、肝心の「どうやって購入すればいいかわからない」状態では売上にはつながりにくいです。自分の作品をどのような形で売るのか(直接取引、オンラインショップ、ギャラリー委託など)、その価格帯はどう設定しているのかを、わかりやすく説明しておくことが大切です。

 私のケースでは、プロフィール欄に「作品の購入や依頼はDM(ダイレクトメッセージ)から気軽にお問い合わせください」と明記し、具体的な価格は個別に対応しています。オンラインショップを運営している方は、そのURLを載せておくとよりスムーズでしょう。購入のハードルを下げるため、作品のサイズや発送方法、支払い方法など、問い合わせが多い項目はあらかじめ投稿やハイライトにまとめておくのもおすすめです。


7. 交流やコメントへの返信を大切にする


 SNSは一方的に発信するだけの場ではありません。コメント欄で質問や感想をもらったら、なるべく早めに返信することを心がけましょう。フォロワーとのコミュニケーションを大切にすると、作品に対する信頼感や愛着が高まり、「この作家さんの絵を買ってみたい」という気持ちを育てやすくなります。

 特に、購入希望のメッセージが来たら、迅速かつ丁寧に対応しましょう。値段交渉や作品の詳細についての質問には、誠実に答えることが大切です。私も、丁寧なやり取りを心がけることで、リピーターになってくれるお客様が増えました。SNSは顔が見えない分、テキストでのやり取りに温かみを出すのが難しい面もありますが、一言添えるだけでも印象が大きく変わります。


8. 企画やキャンペーンで注目度アップ


 定期的に企画やキャンペーンを行うことで、アカウントの注目度を一時的に高める作戦も有効です。たとえば、新作の制作過程を連続投稿しながら「完成したらフォロワー限定で抽選販売します」と告知するのも面白いでしょう。また、「フォロワー1,000人突破記念で、ミニ原画をプレゼント」といったイベントを行うと、一気に拡散されることもあります。

 私も「オンライン配信でライブペインティングをして、その作品を抽選でプレゼントする」という企画を行ったことがあります。すると、そのライブ配信をきっかけに新しいフォロワーが増え、普段なかなか見に来られない遠方の方ともリアルタイムでコミュニケーションをとれる機会になりました。企画次第で多くの人を巻き込むことができるのがSNSの強みです。


9. 他のアーティストや関連分野とのコラボ


 SNSは横のつながりを作るのにも適しています。自分と似たジャンルのアーティストだけでなく、全く違う分野のクリエイターやショップともコラボしてみると、新しいファン層を開拓できる可能性があります。

 たとえば、アクセサリー作家や写真家、あるいはデザイナーとタグを組んで「コラボ展」や「共同制作」を行うと、互いのフォロワーが相手の作品に興味を持ちやすくなります。コラボ商品をSNSで販売すれば、その拡散効果で普段は接点のないユーザーにも届くかもしれません。私も、カフェを経営している知人と共同で“アート×コーヒー”のイベントを開催したことがあり、新規のお客様が大幅に増えて驚いた経験があります。


10. 続けることで信頼と実績を積み上げる


 最後に、何よりも大切なのは“続ける”ということです。SNSは、目に見える成果がすぐに出にくい面もあります。いいねやコメントが少ないと心が折れそうになることもあるでしょう。でも、投稿を重ね、制作を続けていくうちに、少しずつ反応が増えたり、予想外の人から声がかかったりします。

 私も最初の頃は、投稿してもほとんど反応がなく、「本当に意味があるのかな」と思うことが何度もありました。それでも描き続け、発信し続けたことで、だんだんとフォロワーが増え、作品の売り上げや依頼が伸びていきました。SNSを利用しているアーティストは数え切れないほどいますが、その中で継続的に発信を続けられる人は意外と多くありません。だからこそ、長い目で見てコツコツ取り組むことが大きな武器になるのです。


 いかがでしたでしょうか。SNSを活用して絵を売るための戦略やポイントをいくつか紹介しました。

 売れない画家がSNSを使うメリットは大きいですが、同時に手間や時間もかかりますし、成果が出るまで粘り強く続ける根気が求められます。とはいえ、もしSNSがなければ出会えなかったはずの人々や、想像もしなかったチャンスが生まれる可能性があるのも事実。私自身、その恩恵を多分に受けてきました。

 これからチャレンジしようという方は、自分に合ったやり方を模索しながら、焦らずじっくりと取り組んでみてください。SNSにはまだまだ未知の可能性が詰まっています。描いた作品が、いつどこで誰の目に留まり、心を動かすか――そこに思いを馳せながら、楽しんで活動を続けていきましょう。


執筆者:寺野彬秀

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