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画家を目指すなら知っておきたい!絶対にやるべきこと10選 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2024年11月27日
  • 読了時間: 8分

 こんにちは。北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。私はもともと美大を出ているわけでもなく、特別な師弟関係で学んだわけでもありませんが、30代半ばを過ぎてから本格的に絵の道へ飛び込み、現在は出張サービスや展示会活動を中心に少しずつキャリアを築いています。そんな私が、これまでさまざまな失敗や挑戦を重ねる中で「画家を目指す人なら、最初にこれだけはやっておくといい」と実感したことがいくつもあります。


 もちろん、画家を目指す道には正解もゴールもありません。人それぞれのアプローチやペースがあるからこそ、アートの世界は面白いのだと思います。ただ、経験からくる実践的なヒントがあれば、いわゆる“遠回り”を減らせる可能性は高まりますよね。今回は、私なりに「これは外せない!」と思う10個のポイントをまとめてみました。もし画家への道を模索している方がいらっしゃれば、ぜひ参考にしてみてください。


1.まずは描くことを“習慣化”する  

画家を目指すうえで絶対にやるべきことの一つは、「描くのが当たり前」という習慣を作ることです。どれだけ意欲があっても、描く回数や時間が極端に少ないと、なかなか腕は上がりません。上手いか下手かを気にするより先に、「毎日何かしら描く時間を確保する」ことが大切です。  最初は小さなスケッチでも構いません。紙とペンさえあれば、道端の風景や手元のコーヒーカップ、ペットの姿など、対象はいくらでも見つかります。大事なのは「空き時間を見つけたら描く」という習慣づくりです。習慣化すると、技術だけでなく観察力や発想力も自然と養われ、創作に取り組む“初動”のハードルがぐっと下がります。


2.自分に合った画材やスタイルを試行錯誤する  

油彩、水彩、アクリル、デジタル……画家の世界には多種多様な画材があります。最初から「これだ!」と思うものに出会えばラッキーですが、多くの場合は試行錯誤が必要です。私自身、最初は水彩に惹かれていましたが、アクリルや油彩も試してみるうちに「アクリルの速乾性が自分には合っている」と感じ、今では主にアクリル絵の具を使っています。  また、表現方法もさまざまです。具象的な風景画、抽象画、イラストに近いタッチなど、いきなり一つに絞る必要はありません。いろいろなスタイルを楽しみながら、自分の感性にフィットする技法や仕上がりを探ってみてください。試行錯誤していくうちに、「これが自分らしい描き方だ」と思えるスタイルが少しずつ確立されていきます。


3.スケッチとデッサンで“基礎力”を鍛える  

自由に描くのはもちろん楽しいことですが、一方で「基礎力」があると表現の幅が格段に広がります。特に、デッサン力やスケッチ力は画家にとって重要な土台です。たとえば、形状を捉える力や陰影・遠近法の理解は、どんなジャンルの絵でも役立ちます。  私も、若い頃はデッサンの大切さを軽視していた時期がありましたが、改めて練習してみると、作品全体の説得力が増していくのを実感しました。デッサンと聞くと堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、難しく考えず「紙と鉛筆で描いてみる」くらいの感覚でもOKです。特に人物や動物、建物のスケッチは、物の構造やパースの理解を深めるうえでとても有効。地道な作業ですが、基礎を鍛えることで後々の創作がぐっと楽になります。


4.いろいろな作品や作家から“刺激”を受ける  

ある程度描けるようになってきたら、自分の殻にこもりすぎないように注意が必要です。さまざまなアートに触れ、刺激を受けることで、新たなアイデアが生まれたり、表現の幅が広がったりします。美術館やギャラリーで名画を鑑賞するのはもちろん、SNSや動画サイトで海外のアーティストの制作過程を眺めるのも手軽で勉強になります。  意識したいのは、ただ「すごいな」「きれいだな」と感じるだけで終わらせず、「どういう意図や技法で描かれているのか」を考えながら見ること。線や色、構図の取り方など、一見自分とまったく違うジャンルでも、学べるエッセンスはたくさんあるはずです。そうした視点を養うことで、他人の作品を見る力も高まり、自分の作品の客観的な評価や改善につながります。


5.SNSやポートフォリオサイトで“発信”を始める  

どんなに素晴らしい絵を描いていても、誰の目にも触れなければ存在しないのと同じです。今の時代、画家を目指すならSNSやポートフォリオサイトなどを利用して、積極的に作品を公開するのがおすすめです。たとえばTwitterやInstagramでは、制作過程の写真や完成作品をアップするだけで、世界中のユーザーの目に留まる可能性があります。  最初は「いいね」がつかなくても気にしないでください。大切なのは“発信し続ける”こと。作品を公開する習慣ができると、自分自身に良い意味でのプレッシャーがかかり、描き続けるモチベーションにもつながります。フォロワーの反応やコメントから、自分の強みやウケやすいテーマを知る手がかりが得られるかもしれません。


6.展示会やイベントに“足を運ぶ”・“参加する”  

SNSでの発信と並行して、リアルな場で作品を見てもらう機会を持つのも重要です。地元のギャラリーやカフェ、アートイベントなど、探してみると意外と出展募集をしているケースが多いもの。そこに作品を出してみるだけで、SNSとは違うリアクションやつながりが生まれる可能性があります。  私自身、最初は小さなグループ展に1作品だけ参加するところから始めました。たったそれだけでも、会場で直接作品を見てくれた人の感想や質問がダイレクトに伝わり、とても新鮮な驚きと学びを得られたのを覚えています。やはりリアルな場の空気感や対話は格別で、SNSではわからないポイントに気づかされることもしばしば。人脈作りの面でも、展示会への参加は大きなメリットがあります。


7.“学び続ける”姿勢をキープする  

画家として成長していくには、一生勉強が欠かせません。技術やトレンドはもちろん、自分の興味のあるテーマに対して深く掘り下げる知的探究も重要です。たとえば、風景を描くのが好きなら地理や気象、地質についての知識を学んでみるとか、人物を描くのが好きなら解剖学やファッション、文学など関連する分野にアンテナを張ってみるなど、興味を広げると作品にも奥行きが生まれます。  また、最近ではオンライン講座やワークショップなど、場所を問わずに参加できる学びの場が増えています。時間や予算と相談しつつ、自分に合った学びのスタイルを見つけると良いでしょう。新しい情報や技術を取り入れることで、絵を描く楽しさも再発見できるはずです。


8.“プロ意識”を持ってスケジュールや収支を管理する  

もし将来的に画家として食べていきたいと考えるなら、早い段階で“プロ意識”を持つことをおすすめします。プロ意識とは、単純に作品のクオリティを上げるだけでなく、“時間管理”や“収支管理”も含まれます。締め切りに間に合わせる、依頼主との打ち合わせ内容をきちんと把握する、作品の販売価格を考える、経費を記録する――こうしたことはアーティストにとっても欠かせない業務です。  私の場合、カレンダーアプリやスプレッドシートを使って、制作スケジュールや売上・出費を細かく管理しています。画家としての活動がまだ本業ではない方も、アルバイトや他の仕事と両立するならなおさら、時間管理が重要になるでしょう。クリエイティブな活動はどうしても感性に頼りがちですが、一定の規律を持って取り組むことで作品の完成度や仕事の信頼性が格段に向上します。


9.失敗を恐れず“チャレンジ”を続ける  

新しい技法やテーマに挑戦する、未経験のイベントに出展する、SNSで制作過程を公開する――こうしたチャレンジは、確かに失敗や批判のリスクも伴います。しかし、画家として大きく成長するためには、何よりもその“失敗できる環境”を自分に与えることが重要です。  私もこれまで、イベントに出たけれど作品がまったく売れなかったり、描きかけの作品を思い切って作風変更したらぐちゃぐちゃになったりと、数々の苦い経験をしてきました。しかし、その経験から得た学びや人脈、発想があったからこそ、今の画風や制作スタイルが完成したとも言えます。恥をかいてでも、チャレンジした分だけ得るものは必ずあるはずです。


10.“自分が描きたい理由”を定期的に確認する  

最後に、どんなときも忘れてほしくないのは「なぜ自分は絵を描くのか」という原点です。画家の道は、華やかな部分だけではなく、地道で孤独な作業や経済的不安と隣り合わせの部分も少なくありません。そこを乗り越えるには、売れる売れないを超えたところで「自分はこれを描きたいんだ」という強い動機が必要です。  描いているうちに、「このままでいいのだろうか」「全然評価されない」と不安になることもあるでしょう。その度に初心に立ち返り、「そもそも自分は何を描きたかったのか」「どんな世界観を伝えたいのか」を思い出すと、不思議と筆が進むようになったり、アイデアがよみがえったりします。自分の“描きたい理由”が明確な画家は、ブレにくく作品にも一貫性が生まれます。


 いかがでしたでしょうか。これら10項目は、私が実際に画家を目指す過程で痛感した「やっておけばよかった」「やっておいてよかった」と思うことばかりです。もちろん、すべてを一気に実行するのは難しいかもしれませんが、一つでも心に留めておいていただけると、きっと創作や活動の助けになるはずです。


 画家への道は、誰もが通る“正解ルート”があるわけではありません。だからこそ、やるべきことを自分なりに取捨選択しながら、試行錯誤を楽しむのが肝心だと思います。ときには迷いや挫折を味わうこともあるでしょうが、その先にしか見えない風景もきっとあります。絵を描く喜びとともに、ぜひあなたなりの道を切り開いていってください。


執筆者:寺野彬秀

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