プロじゃなくてもOK!趣味の絵があなたを救う理由 | 寺野彬秀
- 寺野彬秀
- 2月3日
- 読了時間: 6分
こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。普段は風景画を中心に活動する一方で、出張サービスという形で全国を巡り、さまざまな方の前でライブペインティングを行うなど、絵を通じたコミュニケーションを大切にしています。そうした活動の中で出会う方々の中には、「趣味で絵を描いているんですが、プロのようなスキルがないと意味がないですよね?」「自分の絵は下手だし、何の役にも立たないのでは…」と悩む方が少なくありません。ですが、私はそんな方にこそ声を大にして伝えたいのです――「プロじゃなくても、趣味で描く絵はあなたを救う力がある!」と。
今回は、「プロじゃなくてもOK!趣味の絵があなたを救う理由」というテーマで、8つの視点からお話ししてみます。たとえ自分の描く絵に自信がなくても、特別な才能がないと思っていても、絵を描くことがあなたの人生に大きなプラスをもたらしてくれるはずです。この記事が、あなたが自分のペースで絵を楽しむためのヒントになれば幸いです。
1. 絵を描くことは“自分と向き合う”ための時間
忙しい日常の中で、私たちは常に外部の情報や人間関係に振り回されがちです。しかし、趣味として絵を描くときは、紙やキャンバスと向き合い、自分だけの世界に没頭する貴重な時間を確保できます。上手い下手は関係なく、「自分が今、何を感じ、何を表現したいのか」をじっくり見つめることは、心の整理にもつながるのです。私自身、予定が詰まっていてストレスが溜まる時こそ、アトリエでひとり静かに筆を握ることで、自分の内面を見つめ直し、気持ちをリセットできると実感しています。
2. “下手”な絵にも宿るオリジナルの魅力
プロでなければ、絵が“下手”でも当然だと感じる方も多いでしょう。しかし、必ずしも“下手”=“価値がない”ではありません。むしろ、技術的に拙いと思われる絵だからこそ出せる素朴な味や独特のタッチがあるのです。子どもの描く絵が時に大人を感動させるように、“下手”に見える絵でもその人の個性や想いが強く表れていれば、それだけで十分魅力を放ちます。プロのような完成度を追い求めなくても、趣味だからこそ生まれる自由な表現がある――それを理解すると、下手かどうかを気にする必要がなくなるのではないでしょうか。
3. 描くこと自体が“癒やし”や“ストレス解消”になる
日常生活には、仕事や人間関係などさまざまなストレス要因が潜んでいます。しかし、絵を描いているときは、その瞬間だけ集中して雑念を忘れられる効果が期待できます。心理学的にも、アートセラピーという分野があるように、描く行為にはストレス解消やメンタルケアの役割があるとされています。私自身、落ち込んだときや悩みを抱えているときに、ただ紙に色を塗りつけたり、意味のない落書きをしているだけでも心が落ち着くのを感じます。プロを目指さなくても、この“描くことの癒やし効果”を享受できるのは、趣味ならではの恩恵と言えるでしょう。
4. “自己表現”が自己肯定感を高める
趣味の絵を描く大きなメリットの一つは、“自己表現”にほかなりません。うまく言葉にできない感情や思考を、絵を通じて外に出すことで、自分自身を肯定できるようになる場合が多いです。たとえ完成度が低くても、「こんな気持ちで描いたんだ」「この色に惹かれて描いてみた」という事実があなた自身を支えてくれます。絵の良し悪しだけでなく、“自分には表現したいことがあるんだ”と再確認する作業が、自己肯定感の向上につながるのです。プロである必要はまったくありません。“自分だけの絵”を描き、それを通じて自己を肯定する――そんな楽しみ方も大いにありだと思います。
5. “学び”の動機づけになり、新しい世界が広がる
趣味で描き始めた絵を通じて、「もっとデッサン力をつけたい」「色彩理論を学びたい」「新しい画材に挑戦してみたい」という興味が芽生えることがあります。こうした“学びたい”という意欲は、絵を描く楽しさをさらに深めるきっかけになるでしょう。私も、最初は試行錯誤でアクリル絵の具を使っていましたが、「もう少し発色を活かせないだろうか」と思ったことをきっかけに画材店に足を運び、新しい筆やメディウムを試すうちに一気に表現の幅が広がりました。趣味として描いているからこそ、自由に学びの方向を選べるし、興味を持った分野を深掘りできるのです。
6. “プロ意識”を持たずに描ける幸せ
プロになると、納期やクライアントの要望、売り上げなど、作品の評価以外の部分に気を遣わなくてはいけない場面が増えます。これは当然、仕事として絵を描く以上避けられない部分ですが、趣味の場合はそうした制約がほとんどありません。描きたいときに描き、休みたいときに休み、好きなテーマを選べるという自由こそが趣味の醍醐味。時にはプロとして活躍するより、こうした自由さを満喫したほうが創作を心から楽しめるケースも多いと思います。プレッシャーや義務感に縛られずに描く絵には、のびのびとした魅力が生まれるものです。
7. “誰か”の心を動かす可能性は十分にある
「プロじゃないから誰も見向きもしてくれない」と思うかもしれませんが、実際はそんなことはありません。趣味で描いた絵だとしても、SNSに投稿してみたら意外と多くの反応があったり、友人に見せたら「この感じ、好きだな」と言ってもらえたりすることは普通に起こり得るのです。たとえ技術がプロ並みでなくても、作品に込めた気持ちや独特の味わいが誰かに刺さることは大いにあります。私も出張サービスでライブペインティングを行う中で、「アートに詳しくないけど、こういうのを見て元気が出ました」という言葉を何度もいただいてきました。そこにはプロやアマの垣根は関係ないと思っています。
8. “続ける”ことで予想外の道が開ける
趣味の絵がきっかけで新しい道が開けた、という話をよく耳にします。例えば、SNSで趣味のイラストをアップしていたら、依頼が舞い込むようになり、そのうち書籍の挿絵を担当するようになった――というケースや、友人に贈った絵が評判を呼んで小さな展示会を開くことになった、など。私自身も、最初は趣味の延長だったライブペインティングが評価され、出張サービスとして全国を回るようになりました。いずれも、続けていなければ生まれなかったご縁です。「自分はプロじゃないし」と線を引いてしまう前に、趣味だからこそ気軽にチャレンジし続けてみると、思いがけないチャンスが舞い込むかもしれません。
以上、「プロじゃなくてもOK!趣味の絵があなたを救う理由」というテーマで8つの視点をお話ししました。簡単に振り返ると、
1. 絵を描くことは“自分と向き合う”ための時間
2. “下手”な絵にも宿るオリジナルの魅力
3. 描くこと自体が“癒やし”や“ストレス解消”になる
4. “自己表現”が自己肯定感を高める
5. “学び”の動機づけになり、新しい世界が広がる
6. “プロ意識”を持たずに描ける幸せ
7. “誰か”の心を動かす可能性は十分にある
8. “続ける”ことで予想外の道が開ける
趣味で描く絵は、いわばあなたにとっての“心の避難所”や“自己解放の場”とも言えます。たとえプロにはならなくても、その絵があなたを救ってくれる瞬間は必ずやってくるはず。趣味だからこそ自由に楽しめるし、気負わずに挑戦できるし、気がつけば人生を豊かにしている――そんな素敵な存在が“趣味の絵”なのではないでしょうか。
もしあなたが「絵なんてうまく描けないし、プロになる気もないから意味ないんじゃないか」と思っているのなら、ぜひその先入観を手放してみてください。楽しんで描いた一枚が、あなたの心を元気にし、時に他の誰かの心も動かすかもしれません。趣味の絵を通じて広がる世界は、想像している以上に大きいですよ。
執筆者:寺野彬秀