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うまく描けないのは才能のせいじゃない!本当に大事なこと | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 1月21日
  • 読了時間: 8分

こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。これまで出張サービスや個展などを通して、たくさんの方と絵について語り合ってきましたが、その中でよく耳にするのが「やっぱり絵が上手く描けないのは才能がないからじゃないか」という言葉です。確かに、SNSやネットを見渡すと、若くして圧倒的な画力を持つ人や、独創的なセンスを発揮する人が目に飛び込んできますよね。そうした光景に気圧され、「自分には特別な才能がないから、絵を描いてもムダかも」と感じてしまうのも無理はないでしょう。


しかし、本当に大事なのは“才能の有無”だけではありません。むしろ、絵を描く上で最も重要なのは“続けていくこと”“楽しむこと”“学びの姿勢”など、いくつもの要素が関わってきます。今回は「うまく描けないのは才能のせいじゃない!本当に大事なこと」というテーマで、絵を描くときに心がけたいポイントを8つに分けてお話ししてみたいと思います。もしあなたが「才能がないから描きたくても描けない」と思い悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。


1. 比較するのは悪くない、でも振り回されない


絵を描く人が陥りがちな罠の一つに、「上手い人と比較して自信を失う」というものがあります。比較は自身の向上のきっかけになり得る一方で、行き過ぎると「やっぱり才能がない」「自分には無理」と思い込んでしまう危険も。そのため、ほどほどの距離感で比較を利用するのが大切です。


私も学生時代、SNSなどがなかった頃は雑誌や美術館で上手い絵を見ては「なんでこんなに上手いんだろう…」と落ち込んだり、憧れたりしました。ただ、その一方で「この表現方法はぜひ真似してみたい」「この配色は参考になる」とポジティブに吸収する姿勢を持つことで、少しずつヒントを得ることができたのです。比較する際は“インスピレーションをもらう”という意識を忘れず、劣等感だけを増幅させないように意識したいですね。


2. “描きたいもの”があるなら続ける意味がある


絵を描く理由は人それぞれですが、多くの場合「これを描きたい」という衝動やテーマがあるはずです。たとえ今は技術が追いつかなくても、“描きたいもの”があるなら、その気持ち自体に価値があります。技術は後からでも学んで伸ばせますが、“描きたい”という熱意は簡単には生まれませんし、強い動機にもなります。


私が風景画を始めたきっかけは、北海道の四季折々の自然に心打たれ、「この雄大な景色を自分の手で表現してみたい」と強く感じたことでした。最初は思うように描けませんでしたが、その“どうしても描きたい”という意志があったからこそ、技術的な課題に向き合えたし、練習を積み重ねられたと思います。“才能”よりも“描きたいものがあるかどうか”のほうが、継続する上ではずっと重要だと感じます。


3. 小さな積み重ねが“大きな上達”を生む


絵の技術は、一朝一夕で手に入るものではありませんが、逆に言えば日々の小さな練習が確実に身を結ぶ分野でもあります。たとえば、1日15分だけのスケッチやクロッキーを続けてみると、1年後にはその差がはっきり見えてくるものです。才能があるかどうかは関係なく、“量”をこなすことで絵を描く勘は磨かれていきます。


私も以前は「上手い人の絵を見ても、どうすればあんな風になれるのかわからない」と思っていましたが、毎日少しずつ描いていくうちにデッサン力や色彩感覚が自分の中に蓄積されていくのを感じました。そうしているうちに「このモチーフなら大体こう描けば形になる」といったコツが自然と身体に染み付いていくのです。小さな積み重ねこそが、大きな上達への道だと思います。


4. “下手だから描いちゃダメ”なんてルールはない


よく聞く言葉に「まだ下手だから、人に見せられない」「上手くなってから本格的に描き始めたい」というものがありますが、実際には“下手だから描いちゃダメ”というルールはどこにもありません。むしろ、下手な状態で描くからこそ、試行錯誤による発見や自分らしさが育まれるケースも多いです。


私が個展やイベントで接するお客さんの中には、「実は絵を描きたくて…」と恥ずかしそうにスケッチブックを見せてくれる方もいらっしゃいます。その絵は技術的に拙い部分があるかもしれませんが、描きたいテーマや想いがしっかり伝わってくることが多いんです。“下手でも描ける、描いていい”と開き直ることで、表現の幅が広がると思いませんか。


5. “得意な部分”と“苦手な部分”を分けて考える


才能がある人って、最初からすべてが上手に描けるイメージがありますが、実際には誰しも得手不得手があるものです。人物画は得意だけど風景画は苦手な人、デジタルイラストは上手なのにアナログ絵は苦戦する人――さまざまなパターンがあります。大事なのは、自分の得意な部分を伸ばしつつ、苦手な部分は徐々に補っていくという姿勢です。


私も最初は風景画に偏っていたため、人間や動物を描く機会がほとんどなく、いざ挑戦してみたら全然うまく描けずにショックを受けた時期がありました。でも、それは単に練習不足だっただけで、地道にデッサンやクロッキーを積むうちに、少しずつ人物描写もできるようになってきました。得意な分野を強みにしつつ、苦手分野はコツコツと補強する――これを続けていれば、才能の有無とは関係なく確実にスキルは伸びます。


6. “描く理由”を見失わない


絵が思うように描けず、「やっぱり才能がないんだ」と感じるときこそ、“なぜ自分は絵を描きたいのか”を思い出してみるのが大切だと私は思います。プロを目指しているのか、趣味で楽しみたいのか、誰かに見せたいのか――その“描く理由”がはっきりしていれば、才能の壁にぶつかっても乗り越える意欲が生まれやすいものです。


私の場合、「北海道の自然を自分の視点で描きたい」という想いが強いので、たとえ上手く描けない部分があっても、その絵を通じて伝えたい風景や気持ちは変わりませんでした。結果的に、描き続ける中で技術が追いついてきたんですね。才能がある人はラクに描けるかもしれませんが、才能がなくても“なぜ描くのか”さえ明確なら、歩みを止める理由はどこにもないはずです。


7. “発表する場”が意外なモチベーションになる


才能の有無に関わらず、絵を描き続ける上でおすすめしたいのが、作品を発表する場を作ること。SNSでも小さな個展でも、友人に見せるだけでも構いません。意外と、周りの人からのリアクションが“次はこうしてみよう”というモチベーションに繋がるんです。


私も最初の頃は「下手な絵を見せるのが恥ずかしい」と思っていましたが、地元のカフェに小さなスペースを借りて展示したところ、「この色合いが好き」「こんなテーマも描けるんじゃない?」といった反応をもらい、次の作品へ活かせました。才能がなくても、作品を見た人の一言が大きな力になる場合が多々あります。描くだけで終わらせず、発表の場を少しずつでも作ることで、得られるヒントや刺激は意外と大きいですよ。


8. 続けた先にしか見えない景色がある


最後に強調したいのは、“続けた先にしか見えない景色がある”ということ。絵が上手くなっていくと、自分自身の作品の変化を楽しめるだけでなく、思わぬ出会いやチャンスが訪れることもあります。誰かとのコラボが決まったり、イベントで声をかけられたり、SNSでリクエストが来たり…。そこには、“才能があるかないか”とは別次元のドラマがあると私は感じています。


私が“下手”だった頃と比べると、今では風景画の依頼をいただけるまでになり、出張サービスで全国の方と繋がれるようになりました。もし才能がないからと途中で筆を置いていたら、こんな体験は絶対にできなかったはずです。実際、“才能”は後から評価されるものかもしれませんが、“続ける”のは今この瞬間、自分の意志でしか決められない。だからこそ、「続けることでしか届かない景色がある」というのが私の強い実感なのです。


いかがでしたでしょうか。「うまく描けないのは才能のせいじゃない!本当に大事なこと」というテーマで、私自身の経験や多くのアーティスト仲間を見てきて感じたポイントをまとめてみました。改めて要点を整理すると、


1. 比較するのは悪くない、でも振り回されない

2. “描きたいもの”があるなら続ける意味がある

3. 小さな積み重ねが“大きな上達”を生む

4. “下手だから描いちゃダメ”なんてルールはない

5. “得意な部分”と“苦手な部分”を分けて考える

6. “描く理由”を見失わない

7. “発表する場”が意外なモチベーションになる

8. 続けた先にしか見えない景色がある


絵が上手く描けないとき、あるいは描く自信を失いそうなときに思い出してほしいのは、「才能がないなら描いちゃいけない」という決まりはどこにもないということ。あなたが絵に込めたい想いがあって、描くことに少しでも興味や喜びを感じるなら、その気持ちを大切にしてほしいんです。技術は後から必ずついてきますし、最初から完璧な人なんてそうそういません。


あなたも、もしかすると“うまく描けない”今この瞬間が、一番面白い時期かもしれません。そこから一歩ずつ進むうちに、新しい発見や出会いが待っているはず。どうか“才能の有無”に惑わされず、続けることで見える景色を、ぜひ楽しみながら目指してみてください。


執筆者:寺野彬秀

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