top of page

今の絵に自信がない人へ!作品を大切にする考え方 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 2月1日
  • 読了時間: 6分

こんにちは。私は1980年生まれ、北海道で活動している画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。普段は風景画を中心に描きながら、出張サービスという形で絵を通じたコミュニケーションを多くの方と楽しんでいます。そんな中で、「自分の絵に自信が持てない」「描いた作品を“いいね”と言ってもらえないのが怖い」という声を頻繁に耳にします。かつての私も同じような悩みを抱えていたので、その気持ちは痛いほどよくわかります。


しかし、ある時期を境に「自分の作品を大切に思う気持ち」を育てることが、絵を描き続けるモチベーションや自信につながると実感しました。そこで今回は、「今の絵に自信がない人へ!作品を大切にする考え方」というテーマで、8つの視点からお話ししてみたいと思います。あなたが描いたその一枚が、あなたにとっても、もしかすると見る人にとっても、かけがえのない存在になるかもしれません。


1. “下手”でも大丈夫、描いた絵は唯一無二


「自分の絵は下手だから…」と卑下してしまう方が多いですが、どんな絵にも作者の個性や想いが滲んでいます。たとえ技術面で拙く見えても、それは世界に一つだけの作品であり、あなたの人生や感性が反映された“唯一無二”のものです。完璧を求めすぎると、自分の中にある大切な個性や素朴な魅力が失われてしまうことも。下手かどうかを気にするより、「今の自分だからこそ描けた一枚なんだ」という目線で作品を見つめると、少し愛おしく思えてくるはずです。


2. 作品は“あなたの歩み”を記録するもの


「1年前の絵を見ると恥ずかしくなる」という声も聞きますが、過去の作品はあなたが積み重ねてきた歩みを示す大事な記録です。振り返ってみると、当時は気づかなかった成長や、自分の変化が映し出されていて面白いもの。私も、昔のスケッチブックを見返すと「ここで苦手だった遠近法が少しずつ身についてきたんだな」とか「このときは色づかいを模索していたんだな」という発見があります。作品は“今この瞬間の自分”を留めておくタイムカプセルのようなもの。だからこそ、一枚一枚を大切に保存しておく価値があると思うんです。


3. “評価”だけが作品の価値を決めるわけではない


SNSやイベントなど、絵を発表する場が増える一方で、「評価されなかったらどうしよう」という不安も増えていますよね。もちろん、多くの人から高評価をもらえれば嬉しいですが、それが作品の価値のすべてではありません。あなたが描いた絵をたった一人でも「いいな」と思ってくれる人がいるなら、それは立派に誰かの心を動かしているということ。また、自分自身が「この絵を描けてよかった」と感じられるなら、その作品はあなたにとって大きな価値を持っています。評価はあくまで相対的なもの。描き手が作品を大切に思うかどうかが、本質的な価値を左右すると私は考えています。


4. “見せない絵”にも宿る大切さ


「人に見せる前提の絵」が多い世の中ですが、実は“見せない絵”を描くことにも大きな意味があります。趣味の落書きや自分だけのスケッチブックにこっそり描いた絵――それらは純粋に自分のためだけの創作であり、誰かの反応を気にせず楽しむことができます。私も、普段は公開しないラクガキ帳があって、そこには自由奔放に色を塗ったり、イメージを膨らませたりしているんです。人に見せる絵が“公の作品”だとすると、“見せない絵”は自分の内面を整理する大事な時間。どちらもあなたを形作る大事なピースなので、公開しなくても立派に作品として存在していると捉えてみてください。


5. “上手くなりたい”気持ちが作品を伸ばす


今の絵に自信がないのは、「もっと上手く描けるはず」「もっと素敵な表現があるはず」という向上心があるからこそかもしれません。これは決してネガティブなことではなく、むしろ作品を大切に思っている証拠。“もっといい絵にしたい”という思いこそが、あなたの創作を次のステージへと導く原動力になるはずです。実際、私も「この部分をもっとこう描きたい」と思う度に、新しい技法を試したり、教材を読んだり、他のアーティストの作品を研究したりしてきました。その積み重ねが、作品の成長につながったと実感しています。


6. “失敗作”が次の一枚を支えてくれる


自信がない背景には、失敗作が山ほどあるから、という方もいるかもしれません。でも実は、その“失敗作”がこそ、自分の成長に欠かせない大切なステップだと思うんです。描いてみて「構図が崩れた」「色合いが気に入らない」などの失敗は、やってみなければわからなかった課題を教えてくれます。私も、何度も塗り直したキャンバスや投げ出したスケッチブックがたくさんありますが、その一つ一つが「次はこうしてみよう」という改善点を用意してくれました。失敗作も含めて、あなたの作品はすべて未来の一枚を支える土台になるのではないでしょうか。


7. “誰かのため”に描くと見える景色


「この絵をプレゼントしたい」「あの人に喜んでもらいたい」――もし自分のためだけに描くことに自信が持てなくなったら、“誰かのため”を意識してみるのはいかがでしょうか。実際、私が出張サービスで依頼主さんの前でライブペインティングをする際は、「この人がどんな絵を欲しているんだろう?」と考えながら描くので、自然と気合が入ります。結果的に、完成した作品を喜んでもらえると「やっぱり描いてよかった」と思え、自分自身の絵に対する愛着も増すんです。誰かの笑顔を思い浮かべながら筆を動かすと、作品が一層大切に感じられますし、意外な刺激やアイデアも生まれやすいと思います。


8. “描き続ける”先にこそ、本当の自信が待っている


最終的に、自信を育む最も確実な方法は“描き続ける”ことに尽きると思います。最初は下手でいい、失敗してもいい、評価が得られなくてもいい――それでも一枚また一枚と描き続けていると、いつの間にか「こんな表現もできるようになった」「意外と自分の絵を好きだと言ってくれる人がいた」といった発見が重なり、自分なりの自信が育まれていきます。私も何度となくスランプを味わいましたが、そのたびに続けることでしか得られない景色が必ずありました。自信というのは、才能や評価だけで決まるわけではなく、“続ける”中で自分らしさを確信できたときに自然と湧いてくるものではないでしょうか。


ここまで、「今の絵に自信がない人へ!作品を大切にする考え方」というテーマで8つの視点をご紹介しました。改めて内容をまとめると、


1. “下手”でも大丈夫、描いた絵は唯一無二

2. 作品は“あなたの歩み”を記録するもの

3. “評価”だけが作品の価値を決めるわけではない

4. “見せない絵”にも宿る大切さ

5. “上手くなりたい”気持ちが作品を伸ばす

6. “失敗作”が次の一枚を支えてくれる

7. “誰かのため”に描くと見える景色

8. “描き続ける”先にこそ、本当の自信が待っている


あなたの作品は、技術や評価を超えたところで、あなただけのストーリーを宿しています。自信が持てないときこそ、その絵が“唯一無二”の存在であることを思い出し、“描きたい”気持ちを大切にしてあげてください。続けるうちに、失敗作も含めてすべてが今後のあなたの大きな武器となり、作品をさらに魅力的に育ててくれるはずです。


最終的には、どんなに派手な評価がなくても、自分が「描いてよかった」「この作品は自分の分身だ」と思えることこそが、絵を描き続ける上で何よりの支えになるのではないでしょうか。自信がないからといって絵を諦める必要はありません。ぜひ、あなたのペースで描き続けてみてください。その作品はきっとあなたの人生や感性を映し出す、大切な証になるはずです。


執筆者:寺野彬秀

最新記事

すべて表示

© 2025 寺野彬秀

bottom of page