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どんなに下手でも、描き続ければ必ず上達する理由 | 寺野彬秀

  • 執筆者の写真: 寺野彬秀
    寺野彬秀
  • 1月28日
  • 読了時間: 6分

こんにちは。私は1980年生まれ、北海道在住の画家、寺野彬秀(てらの あきひで)と申します。これまで全国各地を回りながら出張サービスや個展を通じて、たくさんの方々に絵の魅力をお届けしてきました。その中で感じたのは、「絵が下手だから恥ずかしい」「自分には才能がないから、描いても上達しないかも」という声が、予想以上に多いということ。しかし、私が見てきた無数の事例や自身の経験から言うと、「どんなに下手でも、描き続ければ必ず上達する」というのは紛れもない事実です。今回は、その理由を8つの視点からお伝えしようと思います。


1. 量をこなすうちに“描く感覚”が身につく


絵を描く際、最初から複雑な技法や高度な構図を狙うのはハードルが高いですよね。しかし、「とりあえず描いてみる」ことを繰り返すうちに、手先や目が少しずつ慣れていくものです。最初は線がヨレヨレでも、色塗りが雑でも、毎日、あるいは毎週少しずつ絵を完成させていくうちに、“描く感覚”が少しずつ身体にしみ込んでいきます。私もデッサン力がなかった頃、毎朝30分だけスケッチをする習慣を作ったら、1年後には驚くほど線が安定してきたんです。量をこなすことは、質を高めるための近道だと思います。


2. 下手だからこそ発見できる“自分の個性”


「下手=悪い」と捉えがちですが、実は下手だからこそ見える個性や味わいがあるのも事実。たとえば、線がちょっと歪んでいるからこそ生まれる独特の温かみや、塗りムラの中に偶然生まれる面白いグラデーションなど、技術的に完璧でないからこそ醸し出せる魅力があります。むしろ、そうした“拙さ”が独自の作風に結びつくケースも珍しくありません。“下手”な時期にしか得られない発見やアイデアを大切にすると、後になってそれが大きな武器になることもあるのです。


3. 他人と比較しすぎない


絵を描いていると、SNSや美術展などで圧倒的に上手い人の作品を見てしまい、「自分は才能がない」「もうやめよう」と思うこともあるでしょう。しかし、他人と比較して自分を責め続けても、モチベーションは下がるばかり。もちろん、上手い人の作品を見て学ぶのは大切ですが、それはあくまで“参考”や“刺激”にする程度がいいんです。私もかつてはプロの絵を見て落ち込むことが多かったですが、視点を変えて「この色づかい、真似してみたい」「ここはこう塗れば立体感が出るのか」と学ぶようにしたら、一気に自分の描く意欲が高まりました。他人は他人、自分は自分――それを意識するだけで、心の持ちようが変わります。


4. “下手でもいいや”と開き直れる強さ


上手く描きたいと願うほど、逆に筆が止まってしまうことがありますよね。そこでおすすめなのが、“下手でもいいや”と開き直ってしまうこと。完璧主義になりすぎると、失敗を恐れて挑戦しなくなる一方で、「どうせ失敗してもいいから、いろいろ試してみよう」と思えば、意外な実験や冒険に踏み出せます。私がアクリルから油彩に挑戦したのも、最初は全然思い通りに描けませんでしたが、「下手で当然」と割り切ったおかげで、かなり自由に描いては試行錯誤し、最終的に新しい表現が身につきました。開き直りの強さは、創作の場で意外と大きな味方になるものです。


5. “学ぶ姿勢”があればいくらでも伸びる


下手から抜け出すためには、やはり“学ぶ姿勢”が重要です。具体的には、デッサンの基礎や色彩理論、パースの取り方など、絵の基本を学ぶ手段はたくさんあります。書籍や動画講座、美術教室など、現代はいろいろなルートが選べる時代です。ただし、“学ぶ姿勢”がないと、どんなに良い教本やチュートリアルを手にしても活かせません。私も、最初は下手な自分を認められなかった時期があり、教本や先輩アーティストからのアドバイスを素直に取り入れられなかったんですね。でも「もっと上手くなりたい!」と心の底から思ったときから、知識がスッと吸収されるようになりました。“下手”な状態でも学びの意欲さえあれば、いくらでも伸びる余地があると感じます。


6. 続けるうちに“自分のスタイル”が見えてくる


絵を描き続けると、技術の向上だけでなく、“自分はこういうモチーフや描き方が好きなんだな”というスタイルが定まってきます。最初は何でも手探りで、模写や模倣から入ることが多いかもしれませんが、続けていくうちに自然と「このテーマを描くのが一番楽しい」「こういう線の運びが自分には合っている」と気づく瞬間がくるはず。私自身、風景画に惹かれて描き始めたころは模索の連続でしたが、何百枚と描くうちに“北海道の大自然を、ちょっと鮮やかめの色づかいで描く”のが自分の得意分野だとわかりました。下手な時期も含めて描き続けることで、自分らしさが自然と育まれていくのです。


7. 失敗は“次の一枚”へのヒント


下手ゆえに失敗も多いでしょう。塗りムラがひどい、構図が崩れてしまった、色選びを間違えてしまった――でも、そうした失敗は決して無駄にはなりません。それを次回の作品に活かそうと思えば、失敗は“学び”に転じていくんです。たとえば、油絵で塗りムラが目立った経験から、下地づくりや筆の使い方を調べ直すとか、構図が崩れた経験からパースや遠近法を意識するようになるとか。私もこれまで何度も壁にぶつかりましたが、その都度得た教訓が次の作品を支えてくれました。失敗するからこそ深まる理解や技術があるので、“失敗は次の一枚へのヒント”と捉えるのが賢明だと思います。


8. “続ける人”にだけ見える景色がある


最後に、どんなに下手だと感じても“続ける”ことが何よりも大切です。なぜなら、絵の世界には“続ける人”にしか見えない景色が間違いなくあるから。私も、初めはSNSで作品をアップしても全然反応がありませんでした。けれどもコツコツ描き続け、発信し続けていくうちに、「こんな絵が欲しいんです」と依頼をいただいたり、まったく予想していなかった企業やイベントから声をかけられたりしました。うまく描けない時期も長かったですが、それでも続けていたからこそ開けた道がたくさんあります。“描きたい”という気持ちが少しでもあるなら、描き続けるほどに世界が広がっていくのを体感できるはずです。


ここまで、「どんなに下手でも、描き続ければ必ず上達する理由」を8つの視点でお伝えしてきました。もう一度簡単に振り返ると、


1. 量をこなすうちに“描く感覚”が身につく

2. 下手だからこそ発見できる“自分の個性”

3. 他人と比較しすぎない

4. “下手でもいいや”と開き直れる強さ

5. “学ぶ姿勢”があればいくらでも伸びる

6. 続けるうちに“自分のスタイル”が見えてくる

7. 失敗は“次の一枚”へのヒント

8. “続ける人”にだけ見える景色がある


絵を描くことは、才能がないとできない、あるいは最初から上手くないと恥ずかしい、というものでは決してありません。むしろ、下手な状態から歩み始め、試行錯誤を重ねるなかで技術も感性も磨かれていくのが絵の面白さだと思います。今は「下手だな」と感じていても、描き続けるほどに自分らしい表現が確立し、いつの間にか「下手」だった頃には想像もできないような作品が生まれるかもしれません。


もしあなたが「自分は絵が下手だから…」と悩んでいるなら、どうかこの言葉を思い出してください。下手でもいいから、続けてみる。それだけで、大きな一歩を踏み出すきっかけになるはずです。描けば描くほど、いつの間にか「こんな絵も描けるようになったんだ」と驚く日が来ることでしょう。絵の世界は、続ける人にだけどんどん開けていきます。ぜひ、あなたなりのペースで一歩ずつ進んでみてください。


執筆者:寺野彬秀

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